3-2.コンタクトセンター(コールセンター)における生成AIの活用事例

上記のとおり、トランスコスモスは「次世代コンタクトセンター」の実現に向け、生成AI活用を推進しています。
これらの取り組みが現在どのように進められているか、3つのユースケースを以下にご紹介します。

ケース1:AIによる会話の要約
ケース2:AIを活用したエスカレーション処理
ケース3:AIを活用したロールプレイングシミュレーション

CX Service Diagram

最初の例では、AIがオペレーターと顧客の会話を音声認識でテキスト化し、その内容の要約を生成します。

ログは自動で記録されるため、VOC(顧客の声)を抽出することができ、スーパーバイザーは対話の詳細に基づいてオペレーターにフィードバックを提供できます。

さらに、これらのログを使用してFAQを自動生成する取り組みも行っています。

現在、複数のクライアントとトライアルを実施しており、その結果は非常に良好です。パフォーマンスは平均112%向上し、通話後処理(After-call work)に費やす時間は30〜40%削減されました。

CX Service Diagram

2つ目の事例は、オペレーターからのエスカレーション対応を上長に代わってAIが行うものです。

オペレーターから質問が投入されると、生成AIが既存のQ&Aやマニュアルなどの資料を参照し、適切な回答を生成します。

このユースケースも現在、10社ほどのお客様で検証を進めており、上手く活用できたケースでは、エスカレーション対応業務の負荷を最大60%削減することに成功しています。

また、集中的なトレーニングによって、短期間でAIの回答
精度を90%以上にまで高めることができました。

補足ですが、図に示している「精度94%」は、テキストベースのQ&Aデータのみで検証した際に出た結果となります。

ドキュメントベースの資料を参照した場合、精度はやや低くなり、現状は観測ベースで70~80%ほどです。

今後はドキュメントベースの回答精度もさらに高めていきたいと考えています。

CX Service Diagram

3番目の例は、AIがスーパーバイザーの代わりにオペレーターとのロールプレイングトレーニングを実施するものです。

上の図に示すように、オペレーターとAIがロールプレイングのシナリオを実行し、その後、AIがオペレーターの応答における長所、短所、および間違いを特定することによって、そのやり取りを評価します。

本取り組みの目標は、新任オペレーターの離職率低減と生産性・品質の向上です。しかし、率直に申し上げますと、まだ初期段階であり、具体的な成果は今後蓄積されていくものと認識しております。

しかしながら、本施策を既に導入している現場の監督者と新規オペレーターの両方から、非常に好意的なフィードバックが寄せられています。この励みになる反応を受け、私たちは本施策が大きな成果につながるという期待をもって、前進しています。

3-3. 実際のシステムアーキテクチャ

CX Service Diagram

では、これまでに登場したメカニズムは、実際にどのようなシステムアーキテクチャで実装されているのでしょうか?

上記の図は、システム全体の概要を示したものです。
トランスコスモスはAWSクラウドを活用し、約2か月でこのシステムを構築しました。

例えば、電話システムにはAmazon Connect、音声認識にはAmazon Transcribe、検索サービスにはAmazon Kendra、生成AI機能にはAmazon Bedrockがあります。

現段階では、AIに完全に依存することはまだ難しく、人間の専門知識とAIが協力する段階にあります。しかし、近い将来、AIに任せられる領域は拡大し続けるでしょう。
そうした点を踏まえ、私たちはAWSの今後の進化に大きな期待を寄せています。

3-4.トランスコスモスにおける生成AIの今後の取り組み

CX Service Diagram

最後に、コンタクトセンター(コールセンター)における生成AIの活用について、トランスコスモスとしての見解をご紹介します。

当社は、ソーシャル運用、デジタルプロモーション、Webサイト開発・管理、チャット運用、デジタルコンタクトセンターサービスなど、お客様のエンドツーエンドのカスタマージャーニーをサポートする幅広いサービスソリューションを提供しています。

しかし、これらのフロントエンド業務には、依然として多くの「不便」が点在しています。私たちは、生成AIと人間の専門知識をシームレスに統合することで、これらの課題を解消することを目指しています。

顧客体験は、製品の購入からカスタマーサポートの利用まで、すべてを1か所でシームレスに完結できる世界へと移行しつつあります。

当社は、この進化する状況を全面的にサポートし、お客様各社の事業成長に貢献したいと考えています。

4.トランスコスモスが提供するコンタクトセンター向け生成AIの導入で新しい顧客体験を創造

ここまでお読みになった方の中には、ご自身のコンタクトセンター(コールセンター)でも生成AIの導入を検討したい、とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

最後にトランスコスモスのサービスを紹介します。

トランスコスモスは、顧客のあらゆるタッチポイントにおけるカスタマーエクスペリエンス(CX)を最適化するグローバルなDXプラットフォーム「trans-DX for Support」を提供しており、このたび、生成AIを搭載したチャットボット「trans-AI Chat」を本プラットフォームに追加しました。

「trans-AI Chat」は、ハイブリッドなチャット機能を備えており、顧客はいつでも自然で人間らしい回答を得ることができます。さらに、チャットボットの回答と有人サポートをシームレスに統合することで、質の高い顧客体験を実現します。

従来のチャットボットでは、解決に至るまでに複数のシナリオを選択する必要があり、多くのユーザーが途中で離脱してしまうことが頻繁に発生していました。

対照的に「trans-AI Chat」では、ユーザーは自然言語で質問するだけで、複雑なシナリオ選択の必要なく、即座に適切な回答を得ることができます。

また、FAQやマニュアル、その他の社内文書など、複数のナレッジソースを参照する必要がある問い合わせに対しては、「trans-AI Chat」がこれらの資料をまとめて要約し、回答を提供します。これにより、ユーザーが解決策を見つけるまでの時間を短縮し、顧客満足度の向上に貢献します。

運用面においても、生成AIの運用知識を更新するだけで、常に最新の情報に基づいた回答を保証できるため、従来のチャットボットと比較してシンプルです。

また、有人チャットとのシームレスな連携も可能で、ユーザーに一貫性のある高品質なサポート体験を提供できます。

 

主なポイント

  • ◎ 日本最大のAWS学習イベント「AWS Summit
    Japan」
    が2024年6月に開催されました。

  • ◎ トランスコスモスは、「トランスコスモスが実現するニューノーマル:生成AIでコンタクトセンターの効率化とCX向上」と題した講演を行いました。

  • ◎ トランスコスモスは、生成AIを活用し、顧客満足度とコスト削減の
    同時実現に向けた取り組みを積極的に推進しています。

  • ◎ トランスコスモスは、生成AIを活用した、顧客満足度向上とコスト削減の両立を目指す取り組みを積極的に推進しています。

    ケース1) AIが会話を要約
    ケース2) AIがエスカレーション対応
    ケース3) AIがロールプレイトレーニングを実施

  • ◎ 当社の目標は、生成AIと人間の専門知識をシームレスに統合することで、コンタクトセンターの最前線業務における様々な「摩擦点」を解消することです。

コンタクトセンターの業務変革と改善のために生成AIを活用するきっかけとなれば幸いです。