目覚ましい進化を遂げる人工知能(AI)は、単純作業の自動化や作業効率の向上、データ分析など、ビジネスで重要な役割を担うようになっています。
マーケティングの分野では、AIがどのように活用されているでしょうか?また、さらに進化するAIによってデジタルマーケティングがどのように変化するのでしょうか? 本記事ではこの2点に焦点を当て、進化を続けるAIとデジタルマーケティングを紹介します。
AIはマーケティングにどのように活用されているか?
昨今のマーケティングでAIは主に以下の7つの役割を担っています。
1. 生成AIによるコンテンツの作成
Chat GPTに体表されるように、生成AIは製品説明やソーシャルメディアへの投稿、ニュース記事やレポートなど、コンテンツの作成方法を大きく変革しました。生成AIによってプラットフォームやオーディエンスに合わせ、コンテンツのカスタマイズも行っています。Gartnerの予測では、2024年までにコンテンツの約30%が生成AIによるものになるとのことです。
2. 精緻なパーソナライズの実現
AIは大量のデータに基づき、顧客の好みや行動パターンを分析し、顧客の購買行動の予測を行います。これにより、精緻なパーソナライズが実現できるようになりました。顧客1人ひとりの心理やニーズを理解したAIは、顧客が求めているタイミングで広告やメッセージを送付したり、レコメンデーションやサポートを提供して顧客体験を向上させています。Epsilonの調査ではパーソナライズされたメールはパーソナライズされていないメールより、開封率が29%高く、クリックスルー率も41%高いことが報告されています。
3. 予測分析
AIはデータを通じて顧客の行動パターンを特定し、将来の傾向を予測できるため、マーケティング担当者はAIの洞察を活用して意思決定を行います。マッキンゼーによると、AIの予測分析を使用している企業が業界内で財務実績の上位1/4に入る可能性は、そうでない企業の2倍以上高くなると予測しています。
4. チャットボットによる顧客体験の向上
AI を活用したチャットボットは、顧客の自然言語による質問や要求を理解し、同様に自然言語で対応します。その結果、顧客は24 時間年中無休でリアルタイムのサポートを受けることができ、顧客体験が大幅に向上します。
5. 音声検索の最適化
音声アシスタントを使用して情報を検索する人が増えるにつれて、音声検索用にコンテンツを最適化することがますます重要になっています。AIが音声データから取得したニーズや検索クエリに対応するコンテンツを作成することで、SEOに対応したり、ユーザーとのコミュニケーションに活かすことができます。
6. フィードバック分析
AIを活用することで、マーケティング担当者は顧客のフィードバックやオンラインでのコメントを分析して、顧客が自社のブランドや製品についてどのように感じているかを理解できます。この情報は、マーケティングキャンペーンに活用できるだけでなく、リアルタイムに把握することで、顧客の懸念に対して迅速に対応することが可能になります。
7. 不正行為の検出
AIは顧客データと取引パターンを分析することで、不審な行動を検出し、Eコマースなどでの不正取引を防止することができます。ジュニパーリサーチは、AIを活用した不正検知により、小売企業は2023年までに120億ドルを節約できると予測しています。
AIの進化はデジタルマーケティングをどのように変革するか?
進化を続けるAIは、今後のデジタルマーケティングに変革をもたらすと予測されています。そのなかでも主要な4点を紹介します。
さらなるパーソナライゼーションの向上
AIの開発とともに、アルゴリズムはソーシャルメディアを通じて消費者のデータをリアルタイムで解析できるようになります。これにより、個々のユーザーに最適なコンテンツやオファーの提供が可能になり、顧客体験は一層向上するでしょう。
カスタマーサポートがより魅力的に
AIによって強化されたチャットボットが、顧客とのリアルタイムでの対話をサポートします。これにより、顧客サービスの向上や商品・サービスの購入プロセスのスムーズな進行が期待できます。
商品検索はより簡単に、レコメンデーションはより正確に
音声検索やARの活用がこれまで以上に進展し、顧客は商品をより探しやすくなります。またAIの進化によって商品のレコメンドは、より顧客の好みに合ったものとなるでしょう。
高度なデータ処理と分析
AIはますます高度な予測分析を提供し、消費行動やトレンドを予測する能力が向上します。これにより、マーケティング担当者はより的確な戦略を立て、リアルタイムで市場に対応することができます。
AI時代のマーケティング担当者の役割
AIは有用なツールであり、マーケティングの方法を今後も大きく変革すると予測されます。それに合わせ、マーケティング担当者の役割も変化しつつあります。顧客とつながり、ブランドを構築するには、人間の判断や共感、直観が必要です。マーケティング担当者は業務効率化・自動化を進め、このような戦略的な活動に専念することが求められています。
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著者: Ami.T
在米15年。長らくトランスコスモスでのコールセンター事業運用に従事し、コールセンターの立ち上げや顧客管理業務を専門的に担当してきました。現在は営業として、日系企業が米国市場に進出する際のサポートを提供しています。米国市場は複雑で競争が激しいため、市場調査、販売戦略の開発、ローカルパートナーシップの構築など、包括的なサポートを行っています。