皆さんは「フルフィルメント」といった言葉を耳にしたことはありますでしょうか。フルフィルメントとはEC業界において、商品の注文を受けてから顧客へ商品を届けるまでの一連の業務の流れを指しています。新型コロナウイルス感染拡大以降、レッドオーシャンとなりつつあるEC業界では、商品・マーケティング戦略以外の部分でどのように競合と差をつけるかという点が模索されるようになりました。そこで近年注目を集めているのがフルフィルメント業務です。今回はそんなフルフィルメント業務をより良いものにするために確認すべきポイントを6つ紹介します。
<1. 在庫管理の最適化>
フルフィルメント業務において、スピード感は非常に重要な要素です。顧客は商品の質のみで企業を評価するのではなく、消費体験を総合して評価します。すなわち、必要なものがすぐに手元に届くか否かによって、顧客のリピート率(ブランドロイヤリティ)は大きく変化するということです。そのため、フルフィルメント業務の中でも、特に在庫管理についてはその都度最適化し、スムーズに顧客対応できるようにしておきましょう。
<2. 配送前のダブルチェックを習慣化する>
商品の誤送は顧客の商品利用を妨げるだけでなく、返送する手間を強いるなど顧客に大きな迷惑をかけてしまうことになるため、何としても避けなくてはなりません。そこで重要となるのが配送前のダブルチェックです。人間はどれだけ注意していても時にミスを犯してしまう生き物です。配送前の確認事項にダブルチェックの項目を追加するなどして誤送防止に努めましょう。
<3. 配送業者との信頼関係を構築する>
基本的なことにはなりますが、配送業者との良好な関係の構築に努めましょう。信頼関係を構築することで、協力的な料金体系への変更や優先的な業務対応を期待できます。関係構築に向けて、「配送商品に関する情報伝達は正確に行う」「定期ミーティングを通してコミュニケーションを途絶えさせない」「プロジェクトがうまくいった際はその旨と感謝の意を伝える」、以上の3点を意識すると良いでしょう。
<4. データに基づいて意思決定を行う>
近年のAI技術の発展はフルフィルメント業務にも革新をもたらしました。需要予測に基づいた在庫管理をはじめ、データに基づいた意思決定を行うことでフルフィルメント業務をより効率的に進めることが可能になります。実際にマッキンゼーによる調査では、早期からフルフィルメント業務にAIを導入しデータに基づいた意思決定を行った企業は競合と比較して物流コストを15%削減したといった効果が明らかになっています。
<5. 自動化を進める>
自動化を進めるメリットは大きく2つ「人為的なミスを軽減できる」「人材コストを削減できる」ことが挙げられます。物流センターに注文情報を自動転送できるシステムや倉庫内の商品情報をバーコードで一元管理できるシステム、顧客が自由に配送状況を確認できるシステムなど、フルフィルメント業務の自動化を進めるにあたって、多様なサービスの導入が選択肢として考えられます。
<6. 情報の透明性を確保する>
先ほどはフルフィルメント業務におけるミスを可能な限り減らすためのポイントを紹介しましたが、実際の業務ではミスをゼロにすることは非常に難しく、ある程度のミスが生じてしまうことは致し方ないと言えるでしょう。そこで重要になるのが情報の透明性です。例えば、当初2日間を予定していた配達に4日間かかるといった問題が生じた場合には、すぐに顧客に対して、その旨と問題が生じた経緯、謝罪の意を伝え、顧客に与える悪印象を軽減しましょう。
<+α フルフィルメントサービス>
最後に番外編として、物流業者などが提供しているフルフィルメントサービスについて紹介します。フルフィルメントサービスを利用することによって得られる主なメリットは以下の通りです。
1.コスト削減
一つ目のメリットがコスト削減です。フルフィルメント業務を重点的に行っており、規模の経済の恩恵を受けることのできる外部サービスを利用することで、自社で管理するよりも管理/運営コストを削減することができます。特に扱う商品数/種類数が多く、管理に手間がかかっている事業者にとってこの点は大きなメリットとなるでしょう。
2.より良い顧客対応を実現できる
数多のノウハウを蓄積している専門業者によるフルフィルメントサービスを利用することで、フルフィルメント業務全般の円滑な進行及び配送の遅れといったリスクの軽減が期待できます。ひいてはより良い顧客対応の実現につながるでしょう。
<まとめ>
今回はフルフィルメント業務に焦点を当て、注意すべきポイントを紹介しました。フルフィルメント業務は商品の質に直接影響しないからといって侮ることがないようにしましょう。本記事を参考にフルフィルメント業務の見直しを行ってみてはいかがでしょうか。
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著者: Shunji.O
デジタルマーケティングマネージャーとして5年経験を積み、渡米後は10年間Eコマース事業に携わってきました。現在、トランスコスモスアメリカでプロジェクトマネージャーとしてアメリカ市場におけるEコマース戦略の立案と実行に注力しています。市場動向の分析、競合分析、販売戦略の開発に加え、デジタルマーケティングマネージャーとしての経験を活かしてオンライン広告キャンペーンの最適化など、幅広いマーケティング活動を通じて事業成長を促進しています。