新型コロナウイルスはEコマースにどのような影響を与えているか

新型コロナウイルスはEコマースにどのような影響を与えているか

新型コロナウイルスの世界的流行は、人々の購買行動に大きな影響を与えています。もちろんEコマースも例外ではありません。状況の変化に伴い、オンラインでの購買の状況も刻々と変化しています。すばやく状況を把握し、対応することが企業やブランドの存続の鍵を握っています。現時点でのEコマースの状況を見てみましょう。

 

新型コロナウイルスに対する購買者の反応

新型コロナウイルスの流行が世界的に広がり、都市封鎖などの策をとる都市が増えるにしたがって、人々の購買行動は劇的に変化しています。マスクや食料品を買い込む「パニック買い」は、あまりにも将来の見通しが不確実になってしまったことに対する、購買者の心理的な防衛策だといえるでしょう。

新型コロナウイルスの影響による購買行動の変化には、世代や性別によって違いがあります。ジェネレーションZやミレニアル世代と呼ばれる若い世代では、より上の世代に比べて消費を控えるなど購買行動の変化も大きくなっています。また、男性と女性を比較すると、男性の方が新型コロナウイルスに対応して消費額を減らしており、実店舗での買い物を避ける傾向も強いようです。

 

Eコマースの収益はどう変化しているか

新型コロナウイスル対策のための都市封鎖や外出禁止令によって、実店舗での売上は当然ながら大幅にダウンしています。では、オンラインでの売上はどうでしょうか。「エンジン」の調査によると、オンライン全体での売上は10〜30%上昇しています。ただし、すべてのジャンルで売上が伸びているわけではありません。上昇が顕著なのは、食料品や生活必需品のオンラインでの売上です。

食料品のEコマースでの売上は、3月の第2週に急上昇しています。地元のスーパーマーケットや食料品店で手に入らない商品が増えたためです。

その他のジャンルでは、食品に比べると変化が緩やかですが、業界によって売上の増減に大きな違いがあります。

また、各種のサブスクリプション・サービスも、収益、コンバージョン率ともに大幅に上昇しています。

 

もっとも影響を受けているカテゴリーは?

状況の変化に従って、売れ行き良好商品も変わり続けています。新型コロナウイルスの影響を特に大きく受けているEコマースのジャンルは以下のとおりです。

●健康関連商品
マスクやハンドサニタイザー、医薬品など健康管理や安全のための商品は、売上が大幅に上昇しています。
●保存のきく食品
長期の自宅隔離に備えて、長期保存向けの牛乳やオートミルク、乾燥豆、フルーツを使ったスナックなどの売上が大幅に上昇しています。
●その他の食品、飲料全般
備蓄向けの食品に加え、食品や飲料全般の売上も上がっています。デリバリーやBOPIS(オンラインで注文して店舗で商品を受け取る)など、混み合った店舗での滞在を避けられる購買形態が人気です。
●ストリーミング・サービス
自宅で過ごす時間が大幅に増えるに従って、NetflixやHuluなどのストリーミングサービスの収益は増加。映画スタジオなどのストリーミングへの新規参入も見られます。
●ラグジュアリー商品
ラグジュアリー・ブランドの商品は、アジア市場への依存もあり、新型コロナウイルスの影響で売上減に苦しんでいるジャンルの代表格です。
●ファッション、アパレル
アパレル業界は、都市封鎖などの影響で多くの実店舗を閉鎖し、収益減になっています。オンラインでの売上も20%ほどの減少です。

価格の変化について

オンラインでの価格の変化はどうでしょうか。2020年3月にアドビAdobe (アドビ)が発表した「DEI(デジタル・エコノミー・インデックス)」のデータによると、アパレルなどのジャンルで商品価格は大幅に低下しています。しかし、比較的価格の安定している食品などの売上が大きいため、Eコマース全体での価格は安定しています。また、新型コロナウイルスの影響で航空券の価格が下がっていることも、オンライン上での商品価格のインフレーションを抑えるのに一役買っています。

 

 

まとめ

新型コロナウイルスの影響で、社会全体の流動性が非常に高まっています。先の予測が困難な状況ですが、それに対する自社の顧客の反応を一番よく知ることができるのは、あなたです。今、この状況で自社のEコマースの動向に十分な注意を払い、不安を抱えた顧客のニーズを十分に満たすことができれば、将来にわたってあなたのブランドの忠実な顧客を増やすことができるでしょう。

著者: Hitomi.N

IT企業で4年間のプログラマーとしての経験を積み、その後6年間プロジェクトマネージャー業務を行ってきました。渡米後はEコマースマネージャーとして、日本企業のアメリカ進出を支援しています。日々アメリカEC関連の情報収集を行い、最新のデータと洞察をもとに、戦略の最適化や新しいアイディアを考案し、クライアント企業に競争力のあるソリューションを提供しています。

Back to blog