B2B eコマースとB2C eコマースの最大の相違点は、顧客にあります。B2B eコマースにおける顧客は企業であり、ひとたび良い関係が構築できれば、長期にわたるビジネスが可能になるだけでなく、顧客企業の取引先へもビジネスを広げられる可能性があります。そのため、より良い顧客体験を提供することが最優先の課題となります。
本記事では、B2B eコマースのカスタマージャーニーを理解した上で、それを実践するためのECサイトとカスタマーサービスに関する6つの施策を紹介します。
B2B eコマースのカスタマージャーニーとは?
より良い顧客体験を提供するためには、製品の発見から購入後のサポートに至るまでのカスタマージャーニー全体を把握し、各プロセスでの顧客体験を向上させる施策を取ることが重要です。そこでB2B eコマースのカスタマージャーニーについてB2BとB2Cを比較しつつ見ておきましょう。
多くの関係者とともに顧客企業の成功に協力する
一般的にB2Cでは1人の顧客を対象に取引を行うのに対し、B2Bの場合は購買担当者や購買担当者の部署の責任者、プロジェクトマネージャーや経営陣など、多くの人々が意思決定プロセスに関与します。B2B eコマースでは直接の窓口となる担当者と協力しつつ、実際に製品を使用するユーザーのニーズに合わせた提案を行い、顧客企業の成功を支援する姿勢が求められます。
複雑な購買プロセスに対応する
B2Cでの顧客は商品やサービスの検討を主に1人で行うのに対し、B2Bでは購買プロセスに複数の部署・複数の役職の人が関与し、購買の検討を行います。見積もりを元に、信用条件の検証やクロスチェックなど、購買決定までに複数の段階を経なければなりません。各段階での問い合わせに迅速に応える体制が求められます。
長期の販売サイクルで顧客と並走する
B2Cでは顧客が購入したくなった時にクリックするだけで完了します。それに対してB2Bでは購買プロセスが複雑なことから、販売サイクルが長期化しやすく、数か月から1年以上かかる場合もあります。その間、見込み客に対して詳細なコンサルティングを行ったり顧客に合わせたサービスを提案する必要があります。
長期的な人間関係を築く
B2C eコマースでは購入後のフォローは必須ではありません。しかし、B2Bでは長期的な関係を築くことがより重要です。 製品の効果的な使い方のヒントや日常的なメンテナンスなどのお役立ち情報、バージョンアップした新製品の情報などをeメールやニュースレターで継続的に提供するのも信頼関係を構築するのに良い方法です。また、オンボーディングプログラムやアフターサービスなど、顧客の満足度を高める施策を積極的に用意しましょう。販売サイクル全体で、顧客の望む顧客体験を一貫して提供することが重要です。
B2B ECサイトで顧客体験を向上させる4つの施策
B2B eコマースを通じて商品購入を希望する見込み客もB2Cと同様に、ECサイトを経由して自社商品を見つけます。そのため、適切にデザインされ、優れたユーザーエクスペリエンスを提供するECサイトが必須となります。ECサイトを通じて高い顧客体験を提供するために、次の4つの施策を検討しましょう。
1.パーソナライゼーションを行う
B2Bでのパーソナライゼーションは、顧客のECサイト上の行動を把握し、顧客ニーズを理解することから始まります。誰がログインしているかを把握し、個別の興味関心に合わせたコンテンツを表示したり、行動履歴をもとに最適な提案を行いましょう。MA(マーケティングオートメーション)を活用すれば、パーソナライゼーションの自動化も可能になります。
2. 使いやすいWebデザインを追求する
B2B eコマースではECサイトのデザインが顧客体験のあらゆるプロセスで直接関係します。より良い顧客体験の提供に重点を置いたユーザーエクスペリエンス(UX)デザインに取り組みます。特にWebデザインでは次の点に気を付けましょう。
・PC、モバイルの双方に対応し、顧客に合わせてレスポンシブデザインを用意すること
・顧客が目的を達成しやすく、どこからでも購入プロセスに進めること
3. 商品紹介コンテンツを充実させる
B2Bの購買担当者も消費者であることを忘れないでください。商品を探したり、種類を検討している時、顧客は情報と購買のヒントを求めています。画像や動画を作成し、わかりやすい商品説明やレビューを掲載しましょう。
4. 使いやすい検索機能を設定する
顧客が簡単に商品を見つけたり、迅速に注文したり、過去に行った注文を繰り返したりできるようにするために、ECサイトに基本的な検索機能を実装しましょう。ユーザーが単語を入力するとオートコンプリートの提案が表示されたり、検索結果に画像も表示されるなど、提案検索を追加することで顧客体験が向上します。
次につながるカスタマーサービスを提供するための2つの施策
B2B eコマースでの商品は、顧客企業のビジネス全体に大きな影響を及ぼすことが多いため、カスタマーサービスの役割もそれに合わせて大きくなっています。カスタマーサービスでは次の2つの施策を実行してください。
1.1回のやりとりで問題解決可能な回答を提供する
B2Bの場合、顧客側には複数の連絡先・様々な技術レベルなど、相手によって異なる要素が多くあります。そのため大量のやり取りが発生することが多いのですが、顧客の多くは1回のやりとりで問題が解決することを望んでいます。そのため、素早い対応よりも的確な回答を提供することを重視してください。
2.誠実で思いやりのある対応を心掛ける
B2CではFAQを充実させたりチャットボットなどの自動化がカスタマーサービスの主流となりつつありますが、顧客との関係構築が重要なB2Bでは、できるだけ誠実で思いやりのある対応を心がけましょう。自動応答では丁寧で自然な表現を用い、自動応答が長くならないよう、適切なタイミングで担当者と切り替えるようにしてください。
ECサイトとカスタマーサービスを中心により良い顧客体験を提供しよう
B2B eコマースでの顧客体験向上には、B2Bの特徴を踏まえ、ECサイトとカスタマーサービスの施策が不可欠です。購入しやすいECサイトと購入後の充実したカスタマーサービスを通じて、B2B eコマースで顧客に満足のいく体験を提供することで、長期的なビジネス関係の構築と顧客ロイヤルティの向上を実現しましょう。
弊社では長年にわたりアメリカへ進出した企業様のEC運用をサポートしてきた実績とノウハウがあります。
企業様のビジネスに寄り添った提案をさせていただきますので、お気軽にご相談ください。お問い合わせはこちらから。
著者: Ami.T
在米15年。長らくトランスコスモスでのコールセンター事業運用に従事し、コールセンターの立ち上げや顧客管理業務を専門的に担当してきました。現在は営業として、日系企業が米国市場に進出する際のサポートを提供しています。米国市場は複雑で競争が激しいため、市場調査、販売戦略の開発、ローカルパートナーシップの構築など、包括的なサポートを行っています。