アメリカでECビジネスを考えている方、特にアメリカに商品を輸出して現地販売を行う方は、輸出する際に申請が必要なのをご存知でしょうか?商品によって必要な手続きが異なりますので、注意が必要です。
今回は、「電子機器編」と題しまして、パソコン、テレビ、ゲーム機などの電子機器を輸出する際に必要な申請についてご紹介します。
電子機器を米国に輸出する際にはFCCの認証が必要
米国連邦通信委員会Federal Communications Commission (FCC)
FCCはアメリカ国内の放送通信事業の規制監督を行う、アメリカ政府の独立機関です。電波を発する商品は全て、FCCによって認定されたテスト試験所で、FCCが定めた規格に基づいて商品のテストを行い、その規格の範囲内であるかを証明する必要があります。認証されると、テストレポート(認可書)とFCC番号を発行してもらえるので、米国へ輸出する時に提出します。
アメリカで電子機器を販売するにあたって、なぜFCCの認証が必要なのか、“ラジオ”を例に簡単に説明したいと思います。日本の規格に沿って製造されたラジオは、アメリカでは規格外の電波を発してしまいます。その電波はアメリカの規格に沿って製造されたペースメーカーに影響を及ぼす危険性があります。このように、規格から外れた製品は何か問題を起こす可能性があるため、必ずその国の規格に沿って製造されているかを審査する必要があるのです。
規格は国によって異なり、EUの場合は、規格認定製品にCEマークが付けられます。
電子機器製品の種類によってはアメリカ輸出時に追加の認証が必要な場合も。
アメリカ食品医薬品局 Food and Drug Administration(FDA)
FDAはアメリカ合衆国保険福祉省配下の政府機関で、基本的には食品が対象ですが、医療品、玩具、お箸など人の口に入る可能性のある物、化粧品など皮膚に直接塗る物などに対して認可や取り締まりを行っています。電子機器は殆どの場合FDAの認証を必要としませんが、レーザー製品については規制の対象となります。例えば、CD/DVDドライブなどレーザーでCDを読み取る商品がこれにあたり、FCC同様、FDA番号や認可書が必要となります。商品の成分や材質について細かく検査項目が分かれているので、輸出対象の商品に対してどのような検査が必要なのか、ラベルに表示すべき項目は何かなど、通常はFDAコンサルティング会社を通じて調査と登録を行い、米国輸出時にFDA認可の書類を提出します。
アメリカでの販売時に必要な認証 or 優位な認証
アメリカ合衆国エネルギー省 Department of Energy(DOE)
米国への輸出時には必要としませんが、カリフォルニア州内で商品を販売する場合に、ガジェットに付属するACアダプターの登録が必要となります。国によって電力が異なるケースがあるためアメリカで規格が定められており、DOEが定めたフォームにACアダプターの電圧など詳細を記載し、登録する必要があります。通常はACアダプターを製造しているメーカー協力のもと、情報を記入します。
https://www.energy.ca.gov/appliances/
UL LLC(UL)
日本のJAS規格に当たる安全認証で、認証企業であるUL LLCにより定められた規格です。UL規格に適合すると認められると、完了通知書が発行され、ULマークの使用が許可されます。任意ではありますが、取得することにより、商品の安全性をアピールでき、販売力にも繋がりますので、取得すべき認証の一つです。
次に紹介する企業は各種認証を得るためのサービスを提供しています。
・FDAのコンサルサービス
アメリカで長年の実績があるEureka Global Solutions, LLC. http://eureka-global.net/
・FCC、ULの認証機関
UL Japan https://ja.ul.com/
Takenori.K
長年に渡り、米国においてPCや周辺機器を中心に、雑貨や食品などのディストリビューションに携わる。 近年のECビジネスが活発になるにつれ、配送プロセスから出荷データ、在庫管理などをオンラインシステム業務に移行し、データの適正性を目標とし、顧客満足度の向上を目指す。 2010年にはIATA危険物資格の受講を終え、危険物の取扱いを含め、更なる取扱い商品の分野を広げる。