「2023年B2Bマーケティングのトレンド」では、AIやSNS、コンテンツマーケティングなど、2023年のB2Bマーケティングで押さえておかなければならないトレンドを紹介しました。本記事では、コロナ禍の影響が残る2023年、予想されるB2B業界の動向と、今年B2Bマーケティングを成功するための戦略を紹介します。
2023年B2B業界全体の予測
2023年のB2B業界は、人材、アメリカ国内の経済情勢、企業間競争の3つの領域で、次のような動きが予測されます。
高スキル人材の需要は依然として高い
パンデミック下で最も雇用状況が悪化した2020年4、5月と比較すると、ソフトウェア開発、情報デザイン、マーケティング部門の求人は、2022年後半に至っても依然として多い傾向にあります。そのため、これらの分野で高いスキルを持つ人材は、より良い条件を求めて離職する傾向が予測されます。
【今後予想される動き】
多くの企業は人材確保だけでなく、自社従業員のスキルアップに力を入れることになるでしょう。また、高いスキルを持つ人材に対しては、彼らがその企業にとって必要な人材であり、高く評価されていることが実感できるような対策を取る必要がでてくるでしょう。
インフレや金利上昇は続き経済は不確実性を増す
B2B業界もインフレや金利の上昇と無縁ではありません。2022年、多くのビジネスリーダーは購買決定を延期せざるを得ない状況に陥りました。それにより、B2B企業のクロージングは困難になり、デジタルマーケティング計画は予想を下回る結果になりました。現在もなお継続しているインフレや金利上昇による経済の不確実性は、2023年のマーケティング計画に大きな影響を与えています。
【今後予想される動き】
新しい製品やサービスを購入する時は、常に不安やリスクがつきまといます。しかし、製品の価値やメッセージを明確に発信することで不安やリスクをやわらげ、顧客企業の意思決定を早めることができます。B2Bマーケターは、これまで以上に顧客拡大や顧客維持のための取り組みに重点を置くようになるでしょう。
マーケティングテクノロジーの進歩により企業間競争はより一層激化する
2011年以降、マーケティングテクノロジー業界は爆発的な成長を遂げました。2011年には150種類だったB2Bビジネスアプリが2022年には65倍超の9,932種類まで増加しています。アプリの増加によりタッチポイントが増えたことで、顧客へのアプローチ方法が多用化し、製品やサービスの価値を伝えにくくなっています。顧客のペルソナに合わせたカスタマージャーニーを実現するには、より効果的なタッチポイントを見極める必要があります。
【今後予想される動き】
より多くのB2B企業が、顧客獲得よりも顧客維持に重点を置くため、ARR(Annual Recurring Revenue:年次経常収益)よりもNRR(Net Revenue Retention:売上維持率)を重要指標として用いるようになると考えられますが、顧客獲得が重要でないわけではありません。効果的なタッチポイントを見極めるとともに動画コンテンツやインタラクティブな製品ツアーなどより高品質なコンテンツを、カスタマージャーニーに沿って戦略的に展開するようになるでしょう。
2023年B2Bマーケティングで成功するためにやるべき施策
先述のような動きを踏まえ、今年B2Bマーケティングで成功するために行ったほうがいい施策を3つ紹介します。
1. 適切なKPIを用いてデジタルマーケティングのパフォーマンスを測定する
従来のデジタルマーケティングでは、多くのマーケターがリード獲得に注力してきました。今後はそれと同時に、コンテンツを通してB2B企業のビジネスリーダーの記憶に残り、信頼されることが重要です。そのために、コンテンツがいかに消費されているかを可視化する指標を定め、測定しましょう。例えば動画マーケティングであれば総視聴数だけでなく、視聴時間やコメントの感情なども測定しましょう。
2. B2Bマーケティングで価値とプロモーションのバランスをとる
現在のデジタルマーケティングは、非常に「やかましい」ものになっています。オーディエンスは毎日1万以上もの広告を目にしています。この中でマーケティングとして価値を高めるためには、逆にノイズを減らすことが重要です。そこで、コンテンツマーケティングの取り組みとして、オーディエンスが集まる場所に行き、専門化としてオーディエンスの仕事に役立つ知識を共有しましょう。そうすると何か宣伝をしたとき、自然と注目を集めるはずです。まずは活発なB2Bコミュニティを見つけ、耳を傾け、見返りを期待せずに参加してみましょう。
3. ダークソーシャルに焦点を当てる
B2Bマーケティングであっても、人が人から買うことには変わりありません。ダークソーシャル(閉じられたプライベートなメッセージ上でのコンテンツのシェア)に焦点を当てることは、組織全体のさまざまな職種や階級の人にアプローチし、影響を与えることから始まります。次に彼らが社内のSlackで、コンテンツやLinkedInへの投稿、インフォグラフィックへのリンクを共有するのを促しましょう。
まとめ
2023年、B2B業界における顧客獲得は非常に難しいものになるでしょう。2023年のB2Bマーケティングは広く認知を広めるようなマーケティングではなく、狭く深いアプローチがトレンドになっていますので、今回紹介した3つの対策が参考になれば幸いです。
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著者: Ami.T
在米15年。長らくトランスコスモスでのコールセンター事業運用に従事し、コールセンターの立ち上げや顧客管理業務を専門的に担当してきました。現在は営業として、日系企業が米国市場に進出する際のサポートを提供しています。米国市場は複雑で競争が激しいため、市場調査、販売戦略の開発、ローカルパートナーシップの構築など、包括的なサポートを行っています。