高まる個人情報保護への関心 ~CCPA、IDFAの観点から~

高まる個人情報保護への関心 ~CCPA、IDFAの観点から~

インターネットの普及、IOTの進展により、インターネットが人々の生活に欠かせないものとなった今、デジタル上での個人情報の取扱いに注目が集まっており、個人情報の保護を強化しようという風潮が世界的に高まっています。この風潮に基づく具体的な取り組みとして、カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)による取締りやApple社のIDFAの取扱い変更などが挙げられます。
ではこれらの変更によって、ビジネスシーンにはどのような影響があるのでしょうか?
CCPA、IDFAの2つの例をもとに紹介していこうと思います。

<CCPAによる取締り>

まずはCCPAによる取締りから見ていきましょう。CCPAではカリフォルニア州において営利活動を行う場合、事業者は消費者の個人情報をどのように扱っているのかを消費者に明示しなければならないとされています。ここで注意すべき点はカリフォルニア州に拠点を置いているかに関わらず、カリフォルニア州の人々を対象にビジネスを行っている事業者はCCPAの対象になるという点です。「ECだから自分には関係ないだろう」と油断しないように気を付けましょう。

<IDFAの取扱い変更>

次にIDFAの取扱い変更について見ていきましょう。IDFAとは、iOS端末の広告識別子のことを指しており、それに基づいて広告主はデータを計測したり、ターゲティング広告の配信が可能となります。これまでIDFAの取得はオプトアウト形式であったため、事業者がIDFAを自社広告マーケティングのために活用することは比較的容易でした。しかし、Apple社はiOS14へのアップデート以降、IDFAをオプトイン形式にすることを発表しました。この変更に伴い、IDFAを活用するためには、事業者がIDFAの用途を明示したうえで、アプリごとにユーザーからIDFA取得許可を得ることが必要になりました。

<ビジネスシーンへの影響>

これまで、性別や年齢などの個人情報は企業の正確なターゲティングによる広告効率アップに活用されてきたため、個人情報の活用制限は企業の広告活動に大打撃を与えることになるでしょう。具体的には、上述したような個人情報の取扱いの変更はFacebookといった主に広告によって利益を得ている企業の利益を減少させるだけでなく、広告効率の低下による中小企業の収益減少も引き起こす可能性があると考えられています。それに伴って、これまで広告収益があることにより無料で利用できていたアプリが有料化されるかもしれないと懸念している人もいます。

このように個人情報保護の強化の風潮は一概に良い、悪いと評価できるものではありませんが、ビジネスシーンに大きな変化を与えるきっかけとなり得ることは確実であると言えるでしょう。

<まとめ>

今回は個人情報保護の強化という風潮がビジネスシーンに与える影響について紹介しました。今後もデジタルトランスフォーメーションの急速な進展によって、より一層、個人情報の保護が強化されていくと予測されます。情報感度のアンテナを高く張り、「知らなかった」によって失敗することがないよう引き続き注意しましょう。

著者: Shunji.O

デジタルマーケティングマネージャーとして5年経験を積み、渡米後は10年間Eコマース事業に携わってきました。現在、トランスコスモスアメリカでプロジェクトマネージャーとしてアメリカ市場におけるEコマース戦略の立案と実行に注力しています。市場動向の分析、競合分析、販売戦略の開発に加え、デジタルマーケティングマネージャーとしての経験を活かしてオンライン広告キャンペーンの最適化など、幅広いマーケティング活動を通じて事業成長を促進しています。

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