コンテンツマーケティングは今日、非常に重要な役割を果たしています。特にB2B企業は、購買プロセスも、顧客と関係を築くのも、B2C企業より複雑です。そのため、B2B企業にとって、コンテンツマーケティングの比重はますます高くなっています。
2018年アメリカのB2B企業が、コンテンツマーケティングのどのような面で成果を上げたのか、もっとも優先したことは何か、もっとも支出を増やしたのは何か、最大の懸案事項は何か、2019年に向けての課題は何かなどについて、1年間以上コンテンツマーケティングを導入した企業に対するアンケート調査の結果をもとにご紹介します。
■ 調査結果
1 成功しているコンテンツマーケティングは、オーディエンスの情報ニーズを最優先している
コンテンツマーケティングにおいて、大きな成果を上げているB2B企業の90%が、オーディエンスの情報ニーズを、プロモーションよりも優先していると答えています。それに対し、成果が上がっていない企業の約半数は、情報ニーズを最優先にしていません。
さらに、成功している企業の69%が、コンテンツ作成においてストーリー性を重視しているのに対し、うまくいっていない企業では、ストーリー性を重視しているところは1/3に留まっています。
オーディエンスと信頼関係を形成するためには、一貫性を保ちつつ、価値のあるものを、見つけやすい方法で提供しなければならないことがわかります。
2 ビデオはコンテンツタイプの中で最も重視されている
B2Bコンテンツマーケティング担当者の64%がビデオ、ライブストリーミング、ウェビナーなどのオーディオ・ビジュアルコンテンツの使用を増やしたと答えています。記事やe-ブックなどのテキストベースのものがそれに続いています。
ビジネスの特性やオーディエンス、また企業の求めるものによって、どのようなタイプのコンテンツがもっともふさわしいかは異なってきます。ポッドキャストや雑誌の発行などが効果を上げる場合もあります。さまざまなテストを重ねながら、最良のものを見つけてください。
3 オーディエンスの育成にはeメールマーケティングと教育コンテンツを活用
アンケートに回答したB2B企業のうち58%が、2018年1年間で、ニュースレターの購読者やウェブサイトのオーディエンス、また見込み客を育成する手段として、コンテンツマーケティングを活用したと答えています。
そのうちわけとして、87%のB2Bコンテンツマーケターがeメールキャンペーンを活用しており、教育用コンテンツが77%でそれに続いています。
4 オーディエンスのターゲティングはセールスチームのフィードバックとサイト分析を活用
適切なオーディエンスをターゲットにするためには、オーディエンスの綿密な調査が不可欠です。アンケートによると、B2Bコンテンツマーケターの4人のうち3人(74%)が、販売チームからのフィードバック、およびWebサイトの分析(73%)を通じて、ターゲットとするオーディエンスの調査を行っています。また65%の企業がキーワードの調査を、オーディエンスのターゲティングのために活用しています。
5 増加するコンテンツ制作への支出
2018年の間に最も支出を増やしたのは、コンテンツの制作(65%)でした。より良いコンテンツ制作に向け、費用を惜しまず、工夫を凝らしている企業の姿がうかがえます。
コンテンツマーケティングスタッフへの支出の増加がトップと大きく差が開いての2位(37%)、僅差で広告費用(36%)が続いています。
6 B2B企業の3分の2が有料広告を利用
2018年1年間で有料配信を行ったB2Bマーケティング担当者は66%に上ります。その中で、80%が有料広告によって新しいオーディエンスを獲得しており、その65%はオーガニック検索で結果が得られない場合でも、トラフィックを生成することができました。
とりわけSNSの有料プロモーションを活用するB2Bマーケターが増えています。有料広告を利用した回答者の70%がソーシャルメディアのスポンサードコンテンツに投資し、サーチエンジンマーケティング(64%)、バナー広告(53%)と続いています。
7 戦略を文書化することは重要
2018年の調査では、B2Bコンテンツマーケティング戦略を文書化している企業は39%にとどまっていました。しかし文書化された戦略を持っているB2Bコンテンツマーケターの65%は、成功を収めています。
文書化されたコンテンツマーケティング戦略を持つことで、以下のメリットがあります。
・チーム全体で共通の目標を持つことができる
・チーム全体で優先事項に集中することができる
・望ましい結果を得るために、リソースの割り当てを最適化させることができる
・ターゲットとするオーディエンスを明確化することができる
・説明責任を果たすことができる
・どの選定基準に焦点を当てればよいかがわかりやすくなる
・より正確な情報を元に予算を立てることができる
まとめ
2018年、コンテンツマーケティングは、ブランド認知度を向上するための手段として、また、オーディエンスの情報ニーズを満たし、信頼関係を築くための手段として、さらに、オーディエンスや見込み客に対する教育手段として、広範に活用されてきました。
しかし、一口にコンテンツマーケティングといっても、ビデオの活用や有料広告の利用など、テクノロジーの進展とオーディエンスのニーズの変化に合わせて、刻々と移り変わっています。
それだけに目先の変化にとらわれず、企業の全体的な戦略やマーケティング戦略の一環としてコンテンツマーケティング戦略を打ち立て、文書化していく必要があります。
SEO対策など課題もありますが、2019年もコンテンツマーケティングの活用が、B2B企業の成長にとってのカギとなることは間違いありません。
著者: Ami.T
在米15年。長らくトランスコスモスでのコールセンター事業運用に従事し、コールセンターの立ち上げや顧客管理業務を専門的に担当してきました。現在は営業として、日系企業が米国市場に進出する際のサポートを提供しています。米国市場は複雑で競争が激しいため、市場調査、販売戦略の開発、ローカルパートナーシップの構築など、包括的なサポートを行っています。