2021年Amazon Prime Dayで勝敗を分けたのは?

2021年Amazon Prime Dayで勝敗を分けたのは?

米国Eコマースの一大イベント、Amazon Prime Day。2021年は、新型コロナウイルスの影響が続くなかで例年より早く開催されました。売上高やどんな企業が売り伸ばしに成功したのかなど、今年のPrime Dayの結果をレビューします。 

2021年Amazon Prime Dayの概要

AmazonのPrime会員向けセール「Prime Day」は2021年で7回目。6月21日と22日の48時間にわたって開催されました。 

プライムデーの売上は年々増加しています。2021年の世界での売上は117.9億ドルで、昨年比では19%増。記録的な売上となりました。ただし、2019年から2020年にかけての43%増と比べると、控えめな伸び率ともいえます。また、半分近くの注文が20ドル以下で、平均購入額は44.75ドルと2019年に比べ10ドル低くなっています。購入者数は増えたものの、個々人の購入額が下がったという結果です。 

売上の伸び率が落ち着いた要因としては、Prime Dayの日程が挙げられます。プライムデーセールは2019年まで7月半ばに開催されており、2020年にはパンデミックの影響で10月に行われました。今年は通常より一ヶ月近く前倒しして6月21日、22日となりましたが、日程を告知するメールは通例通りセールの約3週間まで消費者に送られませんでした。Prime Dayが行われていることに気づかなかった顧客も多かったものと思われます。また、イースターや母の日、父の日などお金のかかる季節イベントと夏季休暇にはさまれた時期で、消費者があまり予算を割けなかった可能性もあります。 

とはいえ、そもそもAmazonがPrime Dayを開催する一番の目的は売上アップではなく、特別価格で新規Prime会員を勧誘することです。今回のPrime Dayの二日間だけでもAmazonは合計2億6700万通のプロモーションメールを送信しました。Prime会員は今年のセール後に25000万人に近づいたものと思われ、Amazonにとって2021年のプライムデーは成功だったといえるでしょう。 

小規模ビジネスのPrime Dayでの売上は?

Amazonの発表によれば、今回のPrime Dayはサードパーティーセラーにとっても過去最大の2日間となりました。Prime Day前の2週間、Amazonは「10 ドルの購入で10ドルもらえる」キャンペーンを実施しました。小規模セラーから10ドル購入すると、プライムデーに使える10ドル分のAmazonクレジットをもらえるというものです。このキャンペーンで小規模セラーは19億ドルを売り上げました。また、スポンサーブランド広告やスポンサー商品広告を出稿したセラーは、プライムデーセールで大いに健闘しました。 

また、今回のPrime Dayでは、Amazonの自社ブランドにいっそう注目が集まるような仕掛けがなされていました。プライムデーのメインページではAmazon Liveが注目され、取り上げられたAmazonブランドや大企業の商品はページ上部に掲載されました。また、ほとんどのページにAmazonブランドのタブが設けられたこともAmazonに有利に働いたと言われています。2019年には小規模セラーからの購入がPrime Dayの売上商品数の半分近くを占めていましたが、2021年にはその比率28%まで下がりました。 

今年のPrime Dayのベストセラーは? 

2021年のPrime Dayでは広告の多いカテゴリーがもっとも売れ行き良好でした。健康・ビューティー関連、家電や家事の必需品、ベビーケア用品などです。インスタントポットやオーガニックのプロテインパウダー、自動掃除機のルンバなどがトップセラーに入っています。 

割引の有無も売上に大きく影響しました。Prime Day期間中に割引しなかったブランドの売上は普段の1.3倍だったのに対し、割引をしたブランドでは普段の5.2倍と、明確に成果が出ています。Prime Day割引の商品だけが表示されるカルーセル広告が目立つ場所に設置されるなど、割引商品が優遇されたのも一因です。

Prime Dayでの成功のカギは「広告」と「割引」

2021年のAmazon Prime Dayの結果から、サードパーティーセラーはスポンサー広告にしっかりと予算を割き、Prime会員限定割引を設定することが非常に重要だといえます。今後情報をきちんとキャッチし、早くからPrime Dayに向けて準備を整えるようにしましょう。 

著者: Hitomi.N

IT企業で4年間のプログラマーとしての経験を積み、その後6年間プロジェクトマネージャー業務を行ってきました。渡米後はEコマースマネージャーとして、日本企業のアメリカ進出を支援しています。日々アメリカEC関連の情報収集を行い、最新のデータと洞察をもとに、戦略の最適化や新しいアイディアを考案し、クライアント企業に競争力のあるソリューションを提供しています。

Back to blog