サンクスギビングやブラックフライデー、サイバーマンデー、クリスマスなど、イベント盛りだくさんのホリデーシーズンが近づいてきました。小売業者にとって極めて重要なアメリカのホリデー商戦。EC企業がホリデーマーケティングを成功させるための対策を、トレンドを含めて紹介します。
2021年米国ホリデーシーズンのECトレンドは?
2020年のホリデーシーズンには新型コロナウイルスの影響でオンラインショッピングをする消費者が増え、12月初旬のECの売上は前年比22%増でした。多くの実店舗が営業を再開した後の2021年7月でも、パンデミック前に比べてECの売上は24%増。2021年のホリデーシーズンも、引き続きオンラインショッピングを利用する消費者は多くなりそうです。
また、今年のホリデー商戦は早く始まることが予想されます。昨年のオンラインショッピングでは商品の売り切れや配達遅延が多発しました。この経験から、多くの消費者が今年はサンクスギビング前にホリデーショッピングを済ませることを予定しています。サプライチェーンが引き続き不安定なこともあり、EC企業も早い時期からセールやキャンペーンの準備を進めていくことでしょう。
2021年米国ホリデー商戦で成功する5つのカギ
不確定要素の多い2021年のホリデーショッピングシーズンに売上を伸ばすにはどのような対策が必要なのでしょうか。重要ポイントを5つ紹介していきます。
1.ホリデー対策を早く始める
パンデミックのためにオンラインで過ごす時間が長くなった多くの消費者は、常に何らかのマーケティングメッセージにさらされ、次回のショッピングのことを考えています。このような状況下で、ECブランドが早くからセールやキャンペーンを始め、消費者にメッセージを送り続けることが大変重要です。
今年もサプライチェーンの混乱が予想されますが、早い時期に注文を受ければ、たとえ問題が起きても必要な時期までに商品を届けられ、顧客の好印象につながります。また、仕入れも通常より早い時期に行なう必要があります。トラブルを最小限におさえるために、多様な商品、サービス、出荷チャンネルを準備しておくことも必須です。
2.複数チャネルで一貫性のあるマーケティングを
2021年に行われた調査によると、消費者はさまざまなチャネルを通して新商品やブランドを知り、商品を購入しています。検索エンジンやソーシャルメディアだけでなく、実店舗やブランドのウェブサイト、小売サイトやアプリ、オンライン広告も無視できない比重を占めています。SMS(ショートメッセージ)を使ったホリデーマーケティングも重要度が上がっています。
さまざまなチャネルを活用して顧客に一貫性のあるメッセージを送り、商品を初めて見つけてから商品購入までスムーズで便利な購買体験を提供する必要があります。
3.SNSと動画広告がますます重要に
さまざまな広告手法の中でも特にSNSと動画広告の重要度が上がっています。
SNSを通して商品を購入する消費者は今年のホリデーシーズンにさらに増える見込みです。特にホリデーシーズンには、スマホを利用してオンラインショッピングをする際など、知名度のそれほど高くないブランドが発掘される場合があるようです。ブランドのソーシャル戦略をきちんと整えることで、売上の大幅アップにつながる可能性があることを念頭にいれておきましょう。
2020年のパンデミックでの自粛を背景に、消費者の動画視聴時間は大幅に増えました。そうした中、多くの人が動画視聴中に表示される広告を受け入れ、商品を検索したり購入したりすることがわかっています。
4.カート放棄対策を万全に
多くの消費者がショッピングカートをウィッシュリスト代わりに使っています。他の商品を探して価格を比較したりする間、気になる商品をとりあえずカートに入れておくのです。こうした行動はモバイル機器を利用したショッピングで特によく起こるため、カートの放棄を防ぐ対策が必要です。スムーズなモバイル購入体験を提供したり、タイミングよく割引クーポンを発行したりといった工夫が有効です。いったんカートが放棄されても、幸い購入意欲は高いので、Eメールなどで働きかけることで購入につながる可能性があります。
5.便利な購入オプションを提供しよう
顧客は便利さを求めています。このホリデーシーズンに特に重要になるのは、「オンラインで購入して実店舗で受け取る」というオプションです。配送の遅れが見込まれる中、駆け込みで購入する人や配送待ちを避けたい人が店舗受け取りを利用するでしょう。実店舗でも販売しているブランドの場合、両者の強みを活かし、シームレスな購入体験を提供することが成功のカギになります。
2021年のホリデー商戦は大きなチャンス
ホリデー商戦が早く始まって例年より長く続く2021年は、EC企業にとって売上アップの大きなチャンスです。期間が短く競争率が非常に高い普段のホリデーショッピングシーズンに比べ、じっくりと準備し、落ち着いてマーケティングを進めることができるからです。できる限りの備えをして、このチャンスをつかみましょう。
著者: Hitomi.N
IT企業で4年間のプログラマーとしての経験を積み、その後6年間プロジェクトマネージャー業務を行ってきました。渡米後はEコマースマネージャーとして、日本企業のアメリカ進出を支援しています。日々アメリカEC関連の情報収集を行い、最新のデータと洞察をもとに、戦略の最適化や新しいアイディアを考案し、クライアント企業に競争力のあるソリューションを提供しています。