はじめに結論から述べますと、今後数年間も「電子製品」のオンライン市場は成長を続けていきます。2019~20年頃には通信規格5Gが活用され始めるため、今までよりもさらに便利で安全なネット環境が整い、多くの消費者がオンラインショッピングを利用すると見込まれているからです。また、消費者は店頭で商品が若干安く手に入るとしても、配達の利便性や支払いの安全性などのメリットからオンラインショッピングを好むとされています。その証拠として、米国の電子製品のオンライン販売輸送売上では、2012年~2017年にほぼ横ばいの推移であったものが、2018年と2019年には約20%の成長を見込んでいます。
▼2009年から2019年までの米国の家庭用 電化製品市場の卸売収入
市場自体は大きくなるが、成長スピードは低下
Intelligence NodeやDublin(Business wire)によれば、「電子製品オンライン市場自体は大きくなるが、市場の成熟に伴い成長率は低下する」という予測になっています。では、具体的な数字をみていきましょう。
まず、オンラインショッピング市場全体の予測として、今年2019年には世界中で約19.2億人がオンラインショッピングを楽しみ、総売上が300兆円を超えると予想されています。このE-commerce市場の勢いを受け、アメリカの電子製品オンライン市場も同様に成長していくと見られています。実際には2018年では約7兆円の売上があり、5年後の2023年には9.5兆円まで上昇する見込みです。一方、成長率でいえば2020年以降は前年比1桁台に落ち着き、オンラインショッピング市場自体の成熟を示唆しています。
アメリカは世界第2位のマーケットを誇る
電子製品のオンライン市場において、アメリカは中国に次いで世界第2位のマーケットを持っています。そんなアメリカのマーケットを支える存在として、Best BuyやWalmartが挙げられるでしょう。
家電量販店であるBest Buyのウェブサイトは、世界の電子機器小売業者の中でもっとも多い訪問者を記録しています。したがって、家電量販店の中では世界で一番お客さんを抱えているウェブサイトと言えます。また、小売業者のWalmartはノートパソコンにおいて330の異なるブランドの商品を在庫として持つなど、電子製品に強い販売網を持っています。これらの米国を代表する小売業者たちは世界に与える影響力もこれまた大きいものです。
やはりスマートフォンやタブレットが人気
やはり昨今の携帯端末ブームによって、オンライン電子製品市場でもスマートフォンやタブレットが人気商品のようです。特に人気があるのがiPhoneとアンドロイド端末で、この2種類が米国のスマートフォン市場の6割程度を占めています。また、iPhoneとアンドロイドの持つスマートフォンのオペレーティングシステム(iOSとアンドロイド)はその他のスマートフォンを含むほとんどすべてのスマートフォンで利用されているのも強みのひとつです。また、Kindleなどに代表されるタブレットや電子書籍リーダーも堅調な成長をみせています。
そしてアメリカではホームエンターテインメント類の商品も人気です。ホームエンターテインメントといっても、テレビやDVD・ブルーレイレコーダー、周辺機器など多種多様なものがありますが、特にホームオーディオ、シアターシステムが人気のようです。やはりエンタメ王国のアメリカならではのデータではないでしょうか。
まとめ
今後も順調に成長していくと見られる電子製品のオンライン市場。特に世界第2位のマーケットであるアメリカには、まだまだチャンスがたくさんあると思って良いでしょう。また、これから5Gなどが普及すれば、予想よりも大きく伸びることも考えられます。そのためには、市場の深いところまで探ったデータを活用して、しっかりと動向を見定めることが重要です。
著者: Masako.S
米国の大学でマーケティングを専攻。現在はトランスコスモスアメリカにて、EC・事業開発/ チャットボット担当。米国EC業界の動向調査・最新ツールの導入に、熱心に取り組んでいる。