2019年末商戦は「長期化」と「EC化」を継続か

2019年末商戦は「長期化」と「EC化」を継続か

米国で最も“ホット”なショッピングシーズンと言えば、11~12月の年末商戦です。伝統的には「米国最大のショッピングデー」と言われる『ブラックフライデー*』を皮切りに、12月のクリスマスまで頻繁にセールが行われます。

そんな2019年の年末商戦は、近年のトレンドがそのまま継続されるとみられています。キーワードは「長期化」と「EC化」で、これらのトレンドは我々Eコマース業界の追い風となりそうです。

*アメリカで、感謝祭(11月の第4木曜日)翌日の金曜日のこと。

近年の動向通り、セール期間の長期化が見られる

『ブラックフライデー』という言葉が使われ始めてから、今までは11月第4金曜日の「ブラックフライデー」が主なセールスタート日となっていました。しかし、昨年こちらの記事 【アメリカ EC】ブラックフライデーに忍び寄る影 2018 アマゾン プライムデーの驚異の売上 でもご紹介した通りその期間は「長期化」の傾向にあります。

ある調査によると、2018年は商品カテゴリごとに以下のような時期が最も商品が安くなったようで、セール期間の「長期化」が実感できる結果となっています。

・電化製品→11月はじめ
・クリスマス用デコレーション→11月22
・おもちゃ→11月21(サンクスギビング前日)
・多くの商品が平均的に安くなったのは、サンクスギビングの前週(11月11~17

ご覧のように、11月はじめに「目玉」とも言える電化製品が売り出され、多くの商品が平均的に安くなるのはサンクスギビング前週のようです。

実店舗を訪れる客は減少傾向 ただし一人あたりの消費額は増加

RetailNext Inc.が行なった調査によれば、実際にお店に足を運ぶ人は2016年に比べて2017年は4%減少、2018年には2017年と比べて9%減少しました。実店舗を訪れる方は右肩下がりとなっています。

では、「人々は買い物を行っていないか」と言うとそうではなく、オンラインショッピングにシフトしているようです。その理由として、多くのお店が「最安価格」をオンラインショッピングで扱うようになったという理由が挙げられます。Adobe Systemsの分析によれば、2018年の11月21日(水)からブラックフライデーまでの期間で、前年比26.4%のオンライン売上げを記録しており、いかにオンラインショッピングが成長しているかがわかります。

また、Mastercard SpendingPulseによれば、11月1日~12月24日の一人あたりの消費金額は右肩上がりで、2018年は前年比5.1%の増加となりました。また、ここ10年の平均成長率は年間3.5%にものぼります。そして、オンラインショッピングだけでみれば2018年は19.1%の成長率となりました。

The past 15 years of retail sales
Year Spent per Shopper Total Spent Percent Increase
2002 N.A. $416.4 billion 2.1%
2003 N.A. $437.6 billion 5.1%
2004 N.A. $467.2 billion 6.8%
2005 $734.69 $496.2 billion 6.2%
2006 $750.70 $512.6 billion 3.2%
2007 $755.13 $525.9 billion 2.7%
2008 $694.19 $501.7 billion -4.6%
2009 $681.83 $503.2 billion 0.2%
2010 $718.98 $529.4 billion 5.2%
2011 $740.57 $553.8 billion 4.6%
2012 $752.24 $568.7 billion 2.6%
2013 $767.24 $584.1 billion 2.9%
2014 $802.45 $608.0 billion 5.0%
2015 $805.65 $626.1 billion 3.2%
2016 $935.58 $655.8 billion 3.6%
2017 $967.13 $682.0 billion 4.0%
2018 $1,007.24 $717.5 billion 4.3%

2018年は平均で一人当たり$1,000を超える消費があり、やはり11~12月の米国ホリデーシーズンは、Eコマース業者を含む小売業者にとっては『最高の販売期間』と言えそうです。

2ヶ月の販売期間 Eコマース業の狙い目は「サイバーマンデー」

消費者が完全にお店を訪れなくなることはありませんが、「オンラインの方が便利で、安い」ということは浸透しつつあります。また、近年始まった「サイバーマンデー」はブラックフライデー後の月曜の朝から始まり、同様の割引を提供してセール期間を延ばしています。これは、企業側が消費者の購買意欲を持続させるためのテクニックのひとつで、とても効果的であるという結果が出ています。

Adobeによれば、昨年のサイバーマンデーは“米国史上最大”のオンラインショッピング日となりました。その売上げは$79億(約8295億円)を記録し、うち$20億(約2,100億円)はスマートフォンとタブレット使用によるものでした。

したがって、我々Eコマース業もこの「サイバーマンデー」に力を注ぐことが2019年の年末商戦のポイントかと思われます。「1年で最もオンラインショッピングが行われる日」に狙いを定め、しっかりと準備し、大きな波に乗っていきましょう!

著者: Masako. S

米国の大学でマーケティングを専攻。現在はトランスコスモスアメリカにて、EC・事業開発/ チャットボット担当。米国EC業界の動向調査・最新ツールの導入に、熱心に取り組んでいる。

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