ここ数年でますます大きな関心を集めるようになった環境問題。消費者は、企業が環境に配慮してビジネスを行なうことを期待しています。Eコマースの世界でも、エコ・フレンドリーの重要性は高まる一方です。この記事では、事業をよりサステナブルに変える重要性とその方法を紹介します。
Eコマース企業の「エコ・フレンドリー化」とは?
Eコマース市場の世界的な急成長が続く中、梱包や配送といったEコマース特有の要素が地球環境に大きな悪影響を及ぼしています。たとえば、ラストマイル配送(倉庫から顧客まで商品を配送するプロセス)の増加は、2030年までに炭素排出量を30%増加させるとのことです。
そのため、EC企業の「エコ・フレンドリー化」の重要性がますます高まっています。自社のビジネス活動が環境に与える影響を考慮し、悪影響を最小化するために商品やオペレーションをよりサステナブルでエコ・フレンドリーなものにしていくことが大切なのです。
EC企業が「エコ・フレンドリー化」を始めるべき理由
エコ・フレンドリー化には経費がかかりますし、他に仕事がたくさんある中で優先順位が低いと思われるかもしれません。しかし、消費者は、企業がサステナビリティを重視しているかどうかを商品購入時の判断要素のひとつにしています。
ある調査によれば、北米とカナダの消費者のうち70%が、ブランドのサステナビリティが重要だと考えています。68%の消費者が、企業の環境意識が高いことを知るとロイヤルカスタマーになりたくなる、と答えました。環境への配慮は、顧客ロイヤルティやブランドイメージの向上、ひいては売上げアップにつながる重要な要素なのです。競争の激しいEコマース市場において、エコ・フレンドリー化は「倫理的に正しい」だけでなく、ライバルに差をつける賢いビジネス上の判断だといえます。
エコ・フレンドリー化のためにできる5つのこと
エコ・フレンドリー化を進めるにあたって、いきなりサプライチェーン全体を変える必要はありません。業績を悪化させずに環境への悪影響を最小化するためにできるアクションを5つ紹介します。
1. 梱包材料を変える
環境に対する悪影響の大きい使い捨てプラスチックをできるだけ排除し、リサイクル可能な材料や再生された材料を使いましょう。発泡スチロール製の詰め物の代わりに生分解性の詰め物を使うのもよい方法です。
エコ・フレンドリーな梱包材料は比較的高価ですが、ある調査によれば消費者の70%は環境に優しい梱包材料のために支払金額が上がってもよいと考えているそうです。また、最近の調査では回答者の52%は「企業がどんな包装材料を選んでいるか」が購入の判断に影響すると答えました。エコ・フレンドリーな梱包材料に変えることには大きな意味があります。
2. 配送のカーボン・オフセット(炭素排出量を相殺)
Eコマースに伴う配送は環境に大きな悪影響を与えます。もし可能であれば、配送距離を減らせるように複数の倉庫に在庫を配置しましょう。返品による炭素排出量を減らすために、オペレーションを自動化して配送ミスを防ぐことも効果的です。
削減できない炭素排出量に関しては、カーボン・オフセットを行います。EcoCartなどのツールを使うと、配送によるカーボン・フットプリントをオーダーごとに計算し、その分を認定された環境保護団体に寄付することでオフセットできます。この費用は通常、支払金額の1〜2%になることが多く、企業が支払うことも、顧客に支払いの選択肢を示すこともできます。Shopify(ECサイト構築プラットフォーム)もカーボン・オフセットのオプションを提供しています。
3. 商品の素材をサステナブルなものに
商品製造に用いる材料をサステナブルなものに変更しましょう。オーガニック素材は健康によく、環境にも優しいため、エコ意識の高い消費者を引きつけることができます。可能なときはいつでもオーガニック素材を選ぶようにしましょう。
4. エネルギー監査で改善点を見つける
アメリカのほとんどの州では公的なエネルギー監査が提供されています。監査を受けることで、エネルギー効率改善の機会が自社のどこにあるかを調べ、カーボン・フットプリントを計算することができます。
5. サステナビリティに関する方針をホームページに載せる
サステナビリティについての誓約をホームページに掲載して、環境問題への意識が顧客に伝わるようにしましょう。環境に優しいサプライチェーンを実現すること、カーボン・フットプリントを減らす取り組みを実施しているなど、具体的にわかりやすく説明します。同時に、すでに実行している環境施策についてもきちんと記載しておきましょう。
まとめ
今や、Eコマース企業にとってエコ・フレンドリー化は「選択肢の一つ」ではなく、必須事項であり、今後ますます重要になるでしょう。まずは小さな一歩からエコ・フレンドリー化を始めましょう。
弊社では長年にわたりアメリカへ進出した企業様のEC運用をサポートしてきた実績とノウハウがあります。企業様のビジネスに寄り添った提案をさせていただきますので、お気軽にご相談ください。お問い合わせはこちらから。
著者: Hitomi.N
IT企業で4年間のプログラマーとしての経験を積み、その後6年間プロジェクトマネージャー業務を行ってきました。渡米後はEコマースマネージャーとして、日本企業のアメリカ進出を支援しています。日々アメリカEC関連の情報収集を行い、最新のデータと洞察をもとに、戦略の最適化や新しいアイディアを考案し、クライアント企業に競争力のあるソリューションを提供しています。