新型コロナウイルスの世界的な拡大は人命のみならず経済にも大きなダメージを与えています。特にコロナウイルスによって不要不急の外出を避ける人が増えたことで小売業において大きな問題が生じています。
今回は厳しい状況が続く小売業の救世主となり得るBOPISの重要性について紹介します。
コロナ禍における消費者
アメリカの消費者を対象に行われた調査では、調査対象者のうち不要不急の外出を完全になくしたと答えた人の割合が30%ほど、大幅に外出頻度を減らしたと答えた人の割合は52%でした。つまり大半の消費者はコロナウイルスに警戒して外出を控えており、企業のオンラインサービス展開などで外出リスクがなるべく小さくなることを望んでいることが明らかになっています。
BOPISとは
BOPIS(Buy online, pickup in store)とはオンライン上で購入した商品を実店舗で受け取るサービスのことです。具体的には、オンライン上で事前に購入しておいた商品を車で受け取りに行くcurbside pickupがBOPISの一つになります。BOPISでは通常の営業をする場合と比べて人と人の直接の接触を減らすことができるため、コロナウイルス感染対策として非常に有効です。これは顧客の健康だけでなく従業員の健康を守ることにもつながるため、コロナ禍において非常に重要なシステムであると言えます。BOPISと合わせてクレジットカードやRFID、NFC搭載機器の活用による支払い作業簡略化も感染対策として有効です。
BOPIS利用者の特徴&そこに見出すBOPISの可能性
前述した調査にはBOPISの利用に関する項目も含まれており、次のような大きな特徴が判明しました。それは、多くの消費者がコロナ禍においてはBOPISを利用しているにもかかわらず、特に比較的高齢世代の消費では日常的にBOPISを利用している人の割合が非常に小さいという特徴です。
インターネットを活用するサービスのため、その点に扱いにくさを感じる世代ではその利用が浸透してきませんでしたが、コロナウイルスによってソーシャルディスタンスを意識する機会が増えたことで、現状ではそういった世代の消費者もBOPISを利用していると考えられます。
この機会にBOPISに馴染みのない消費者にもその便利さ・快適さをうまく伝えることで、コロナ禍においてのみならずafterコロナにおいても小売業界を活気あるものにすることができるのではないでしょうか。
まとめ
今回はコロナ禍で特に注目されるようになったBOPISについて紹介しました。コロナウイルスとの関連からBOPISの感染拡大対策としての側面に注目しましたが、BOPISをはじめとしたオムニチャネルの活用は柔軟な在庫確保などで新たな売上を創出し利益拡大に寄与することも忘れてはいけません。
感染拡大対策、経営戦略どちらの側面から見ても優れているBOPISはコロナウイルスの危機にさらされている現在だけでなく、afterコロナと呼ばれる将来においても重要なものとなると考えられます。コロナウイルスを契機にBOPISについて今一度検討してみてはいかがでしょうか。
著者: Shunji.O
デジタルマーケティングマネージャーとして5年経験を積み、渡米後は10年間Eコマース事業に携わってきました。現在、トランスコスモスアメリカでプロジェクトマネージャーとしてアメリカ市場におけるEコマース戦略の立案と実行に注力しています。市場動向の分析、競合分析、販売戦略の開発に加え、デジタルマーケティングマネージャーとしての経験を活かしてオンライン広告キャンペーンの最適化など、幅広いマーケティング活動を通じて事業成長を促進しています。