年度末となり昨年度の事業成果を改めて目にする機会が増えてきたのではないでしょうか。昨年度は新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いたと思ったら再度拡大するなど、慌ただしい年度だったと思います。今回はそんな2021年度の締め括りとなったBFCM商戦について、振り返っていこうと思います。
<11月の消費額およびBF/CMにおける消費額>
2021年11月のオンライン販売における消費額は約1100億ドルと前年の同時期に比べて11.9%増加しました。一方で、とりわけBF/CMの2日間のオンライン販売における消費額に関しては、BFが約89億ドル(前年比1.3%減)、CMが約110億ドル(前年比1.4%減)減少しました。以上の2点より、2021年のBFCM商戦は「早期から始まり、競争が長期化した」という特徴を持っていたと言えるでしょう。
このトレンドには、新型コロナウイルスによるオンライン販売メインのBFCM商戦が2度目だったことが大きく影響しています。2020年、コロナ禍の中初めてのBFCM商戦において、多くの企業がオンライン販売に参入したことで競争が激化したことは記憶に新しいのではないでしょうか。この経験を踏まえて2021年のBFCM商戦では、各企業が少しでも多くの消費者の注目を集めるために、積極的に早期からセールを開催しました。また、それに伴い、消費者らも目当ての商品が売り切れてしまう前に購入してしまおうと消費行動を早めました。故に、オンライン販売における消費額についてもBF/CMの2日間に集中するのではなく11月中に幅広く分散した、というわけです。加えて、新型コロナウイルスによってオンライン販売が急激に普及して以来、ある程度時間が経過しオンライン販売への慣れが生まれたため、特別なタイミングに限らず日常的にオンライン販売を利用する人が増えたことも上記トレンドの一因と言えるでしょう。
<売れ行きが好調だったカテゴリ>
次に総消費額が増加した11月において、特に売れ行きが好調だったカテゴリ・商品について確認しておきましょう。2021年のBFCM商戦ではカテゴリとしてはおもちゃ、ビデオゲーム、本、キッチン用品が、具体的な商品としてはAirPodsやApple Watch、ニンテンドースイッチなどが人気を集めました。
<消費額増加の一因はインフレーション>
Adobeの分析によると、消費額の増加にはオンライン販売におけるインフレーションが深く関係しているのではないかとされています。ここで挙げているインフレーションとは実際の商品価格が上昇したことを指しているのではなく、セール時の割引率が昨年と比較して小さかったために、結果的に消費額が増加したことを意味します。実際に電子機器の割引率は2020年が27%であったのに対して2021年は12%ほど、テレビの割引率は2020年が18%であったのに対し2021年は13%ほど、電化製品の割引率は2020年が20%であったのに対し2021年は8%ほどに留まっています。
<まとめ>
今回は2021年のBFCM商戦について振り返っていきました。総消費額という絶対的な数値の変化だけでは見えてこない「競争時期の変化」「割引率の変化」といった特徴についても今後の戦略に活かすために押さえておくべきでしょう。本記事が新たな戦略策定の参考になれば幸いです。
著者: Shunji.O
デジタルマーケティングマネージャーとして5年経験を積み、渡米後は10年間Eコマース事業に携わってきました。現在、トランスコスモスアメリカでプロジェクトマネージャーとしてアメリカ市場におけるEコマース戦略の立案と実行に注力しています。市場動向の分析、競合分析、販売戦略の開発に加え、デジタルマーケティングマネージャーとしての経験を活かしてオンライン広告キャンペーンの最適化など、幅広いマーケティング活動を通じて事業成長を促進しています。