2022年Eコマースのトレンド カギを握るのはより快適な顧客体験

2022年Eコマースのトレンド カギを握るのはより快適な顧客体験

2020~21年のコロナパンデミックの影響を受け、消費者の購買行動は大きく変化しました。2021年には世界のEコマースの売上は25%以上の成長を見せています。アメリカでは消費者の76%がオンラインで買い物をしており、2024年までにEコマースの売上は倍増する見込みです。

右肩上がりの成長を遂げるEコマースは、2022年にどのようなトレンドが生まれるでしょうか。以下の7点に焦点を絞ってみていきましょう。

 

1. 小売業のオムニチャネル化が進行

コロナ禍でECを開設する小売店が増えました。消費者もECサイトで商品を選び、実店舗で購入する、チャネルをまたいだ購買行動が増加しています。

ハーバードビジネスレビューの調査では、73%の消費者が、リサーチ目的で複数のECサイトやチャネルを回遊しています。一方、別の調査では、購入は実店舗で、と答えた消費者が61%に上ります。オンラインで調べ実店舗で購入したい消費者のニーズを受け、実店舗とECでシームレスな購買体験を提供するオムニチャネルが2022年にはさらに増加するでしょう。

また、オムニチャネル化に不可欠な顧客データの一元化によって、パーソナライズされた顧客体験の提供も進行するでしょう。

2. ARや音声アシスタントなどのテクノロジーの導入による顧客体験の向上が促進

AR(拡張現実)の導入によって、消費者は買いたい商品をより鮮明にイメージできるようになります。35%の消費者が「ARが利用できれば、もっとオンラインで購入したい」と答えています。

また音声アシスタントによるショッピングも、アメリカでは2022年までに400億ドルに達すると言われています。一般的に人間は1分間に40ワードしかタイピングできないのに対し、平均150ワードの単語を話すことができるため、音声ショッピングの方が負担なく購入プロセスを進行できるからです。

3. マーケットプレイスへの進出がより一層増加 

EC運用者が次の1歩を考えるならば、Amazonなどのマーケットプレイスへの進出を検討してください。マーケットプレイスはECビジネスを多様化し、収益性を向上させるのに役立っています。なかでもAmazonの利用者はロイヤルティが高く、2020年の時点では月平均36億8000万人がAmazonを利用し、89%の消費者が他のECよりもAmazonから購入する可能性が高いとの報告もあります。迅速で無料配達を行うAmazonは今後も多くのユーザーを引き付けるでしょう。

4. ソーシャルコマース加速 

ソーシャルメディアの進化は目覚ましく、交流や写真共有としてスタートしたSNSは、今や巨大なマーケティングチャネルに成長しています。SNSのユーザー数は約2億9500万人、投資される広告費は2022年までに570億ドルを超えると予想、インフルエンサーマーケティングにも2022年には41億4000万ドルを費やすと予測されています。

現在、多くの企業はSNSをブランドや商品の認知度を高める目的で利用していますが、今後新機能が追加されれば、さらなる追い風が吹くことになるでしょう。2020年のソーシャルコマースの収益は370 億ドルでしたが、2022年には460 億ドルに達すると予測されています。

 

5. モバイル利用の増加

2020年、モバイル経由での売上は478億ドルに達し、EC支出全体の31%を占めています。スマートフォンユーザーの30%が商品やサービスを調べるためにスマホを利用し、24%の人が購入に使用しています。現在2億9800万人のアメリカのスマホユーザーは、2022年に3億200万人、2025年には3億1100万人に達すると予想されていますが、それに伴いモバイル経由での購入も増大するでしょう。

6. 決済処理のオプションの増加

ECでのデジタルウォレットの利用率は2019年から2020年にかけて23.7%増加し、アメリカのEC取引全体の29.8%を占めました。2022年にはさらに銀行振込やデジタルウォレット、地元の小売店での現金支払いなど、幅広い決済サービスが利用できる小売業者が増えるでしょう。これによりカゴ落ち率の減少が期待されています。

7. グリーンコンシューマリズムに参加するブランドを好む消費者が増加

2022年、消費者はより多くのEC業者が “グリーンコンシューマリズム “に参加することを期待するでしょう。2019年から2020年、「オンラインショッピングの環境に与える影響」に関連する検索が23.5倍に増加しました。

消費者の多くが環境の持続可能性に関心を持っており、自分のお金が未来に貢献することを期待しているのです。ブランドはフェアトレード団体から商品を仕入れたり、環境に配慮したパッケージや梱包材を使用しましょう。

2022年はテクノロジーを取り入れ、価値ある顧客体験の提供がカギとなる

スマホの普及とスマホでの購入の利便性が向上したことにより、ECの利用は今後も加速することが予測されます。ARや音声アシスタントの利用、またAIによるレコメンデーションやなど、テクノロジーの導入を検討してください。また、実店舗を持つECは、消費者が実店舗・ECをまたいだシームレスな購買ができるよう、オムニチャネル化に向けた準備を開始しましょう。

著者: Ami.T

在米15年。長らくトランスコスモスでのコールセンター事業運用に従事し、コールセンターの立ち上げや顧客管理業務を専門的に担当してきました。現在は営業として、日系企業が米国市場に進出する際のサポートを提供しています。米国市場は複雑で競争が激しいため、市場調査、販売戦略の開発、ローカルパートナーシップの構築など、包括的なサポートを行っています。


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