突然だが、あなたは消費者の行動心理をきちんと把握しているだろうか?「もちろん知っている。国内で優秀な成績を残したから、海外事業を任されたんだ。」というあなたは痛い目を見るかもしれない。もしアメリカで事業を成功させたいなら、アメリカの消費者について詳しくなければならないからだ。
そこで今回は、販売心理学&マーケティングのプロであるRobert Cialdini(ロバート・シャルディニ)教授の本から、アメリカの消費者心理について学んでみたい。
シャルディニが掲げる7つの柱
シャルディニは販売心理学の観点から、消費者に「はい」と言わせるための考え方を7つ挙げている。その7つが以下である。
・相互関係(利益)=「人はなにかを(して)もらうと何かを返したくなる心理」
例:無料サンプルの提供
・約束と一貫性=「人々は自分たちの発言や行動に責任を持つ」
例:ニュースレターへの登録(登録という自発的な行動)、顧客用の商品を作り試してもらう(自分用に作ってもらったという責任)
・好み=「造り手や販売者とのつながり。好みの一致。」
例:有名人がプロデュースする製品ライン、ブランドイメージ、イメージカラー、同じ好みの人々の評価
・権限=「専門家や有名人、少しでも権限のある人物からの推奨」
例:専門家おすすめ、有名人御用達、スタッフおすすめ、キュレーション
・社会的証明=「みんなが好きなものを好きになる(3.好みとつながる)」
例:ベストセラー、一番人気、評価およびレビューページ、インフルエンサー
・希少性=「人々は限定的な機会に価値を感じる」
例:タイムセール、季節・期間限定商品、品薄商品
・統一と協同=「その企業が持つ信念。顧客との協同。」
例:顧客と共通のライバルを作る(例:アップルvsマイクロソフト)、政治や社会問題への訴え、〇〇信者などの愛称
これらの7つの考え方は、現在の小売業で幅広く使われている。どれか一つに絞って集中的に攻めるのもよし、いくつかの柱を組み合わせるのも良いだろう。
ポイントは、「買ってもいいと思われる理由」を与えてあげることだ。
価格は大切だが”最重要”ではない
商品には価格がついている。もちろん人々は、良い製品をより安い値段で買いたいと思っているだろう。しかし、価格が購買動機の最重要項目ではないという。
価格はあくまでも商品購入のためのリスクであり、価格が上がればそれだけ必要となる「理由」の数が増えるだけなのだ。無謀な価格設定でなければ、購入動機を用意してあげられれば価格はそれほど問題にはならない。
「買ってしまってもしょうがない」状態をつくる
今回紹介した7つの心理は、消費者を「買わない理由がなく、買う理由が多い」状況に持っていくものだと言えるだろう。そのためには、想定した販売ターゲットと大きく異なる人々が外れていくのは、しょうがないことでもある。
これら7つの柱を使いこなすことができれば、きっとあなたの企業の売上は伸びていくことだろう。
出所:7 Psychological Triggers that Win Sales and Influence Customers
著者: Masako. S
米国の大学でマーケティングを専攻。現在はトランスコスモスアメリカにて、EC・事業開発/ チャットボット担当。米国EC業界の動向調査・最新ツールの導入に、熱心に取り組んでいる。