全世界で急成長を遂げるエドテック~アメリカの現状とこれから

全世界で急成長を遂げるエドテック~アメリカの現状とこれから

昨今目にする機会の増えたEdTechとは、Education + Technologyすなわち情報通信機器を利用した教育サービスを指します。新型コロナウイルスのパンデミックを機に急成長を遂げるエドテックについて、アメリカでの現状と今後を中心に紹介します。

アメリカのエドテック市場

エドテック市場は成長を続けており、世界規模で2015年には1070億ドルの市場規模だったものが、2025年には3倍の3,500億ドルに到達するものと予測されています。エドテック企業の43%に相当する1385社はアメリカに設立されており、第2位インドの327社の約4倍に相当します。エドテック事業に対するベンチャーキャピタルの投資も投資額830万ドルと2位の中国を590万ドル差で引き離しており、企業レベルで見ても、資金力のあるエドテック企業20社のうち、13社がアメリカに籍を置く企業です。

アメリカでトップを走るのは、4億ドルを超える資金力を持つオンライン教育に携わる2Uです。これは全世界のランキングの第4位です。トップ3を占めるのはインドのByju’s、中国のYuanfudao、Zhangmenで、これらアジア企業の成長を支えているのは、この地域の若年層の人口増加であると考えられています。

エドテック、急成長の背景には新型コロナウイルス の影響

エドテックがここまでの急成長を遂げた背景には新型コロナウイルスの世界的なパンデミックがあります。感染拡大のピークとなった4月中旬には、190か国で学校が閉鎖され、全世界の学習者の90%、約16億人が影響を受けました。そこで学校の代替手段としてエドテックが大きな役割を果たすことになりました。

一方、新型コロナウイルスは雇用にも大きな影響を与えました。多くの企業で経営が悪化し、失業率が急激に上昇しました。そんな中、エドテックはこれまで対象としてこなかった成人層に、新たな解決策を提供するようになったのです。

若年人口の多さを背景に成長するアジア、成人教育に目を向けるアメリカのエドテック

エドテックで世界のトップを走るインドのオンライン学習プラットフォームByju’sは、2015年の設立当初は学校の授業を補完するためのオンライン対面レッスンを中心に提供していました。やがてオンラインで学習リソースを探す人のために、授業を動画コンテンツとして定期購入サービスで提供するようになります。新型コロナウイルスパンデミック時には学生に対して無料アクセスを提供、登録ユーザー数を25%伸ばし、5,000万人にまで増加させています。

一方、中国は国を挙げてエドテックを支援しており、オンライン学習プラットフォームも急激に拡大しています。パンデミック下でオンラインへの切り替えが進んだ結果、教育そのもののあり方が双方向的なものへと変わろうとしています。教育だけでなく、ITへの習熟やデジタル空間での作業意識などの有益なスキルを身につけることができるオンライン教育は、パンデミックの影響が去った後も中国では続くだろうと考えられています。

個別指導アプリで市場を牽引しているのは、香港のSnapaskです。Snapaskは単に教育を提供するだけでなく、個別指導アプリという形態で350万人の大学生と高校生を結び付け、教育を提供するだけでなく、30万人の在宅勤務教師という形での雇用創出も果たしました。

アメリカのエドテックは社会人向けのスキルアップサービス

新型コロナウイルスパンデミックは、雇用全体に大きな変革をもたらしました。多くの雇用が失われ、新型コロナウイルスの影響がなくなったとしても、雇用が戻ってこない職種も増えると予測されています。そのような中で、職を求める人が新しいスキルを習得するのに役立つサービスを提供しているのが、アメリカのLearnInです。創設者のデイヴィッド・ブレイクは、アメリカの失業が急増した4月にLearnInを設立しました。

これまで雇用主にとっての選択肢は、従業員を解雇するか、保持し続けるかしかありませんでした。しかしLearnInは解雇ではなく低コストのトレーニングプログラムによって、従業員のスキルアップを果たすという新しい選択肢を提供しています。従業員に応じた短期的なトレーニングコースを経てスキルを獲得したのちに職場に復帰するというプログラムです。

今後さらなる拡大が予想されるエドテック事業

エドテック業界が市場規模を拡大した背景には、新型コロナウイルスパンデミックがありましたが、オンラインでの教育リソースやインタラクティブな形態での教育、働きながらのスキルアップなどの需要は、それ以前からもあったものです。おそらく、新型コロナウイルスが収束後もエドテックの需要は伸び続け、若年層が増加するアジア地域だけでなく、社会人のスキルアップ教育などを通してアメリカでのエドテック事業も拡大することが予想されます。アメリカのEC業界におけるエドテック事業の重要性は今後さらに増加していくでしょう。

著者: Ami.T

在米15年。長らくトランスコスモスでのコールセンター事業運用に従事し、コールセンターの立ち上げや顧客管理業務を専門的に担当してきました。現在は営業として、日系企業が米国市場に進出する際のサポートを提供しています。米国市場は複雑で競争が激しいため、市場調査、販売戦略の開発、ローカルパートナーシップの構築など、包括的なサポートを行っています。

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