アメリカEC 高級ファッション 市場の鍵は 「デジタル化」

アメリカEC 高級ファッション 市場の鍵は 「デジタル化」

アメリカの高級品市場では、店頭で商品を購入する従来の方法から、オンラインショッピングへの大きな変化がみられます。2011年から2016年の5年間で、高級品の市場価値は24%増加しており、それに伴い、オンラインでの高級品の売り上げは112%と大幅に増加しました。

アメリカのコンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニー(Bain&Co.)の調査によると、高級品全体に占めるオンラインの売り上げは8%(2016年時点)ですが、2025年には25%になり、ますます大きくなると予測しています。

同じくベイン・アンド・カンパニー(Bain&Co.)が行った、アメリカでの2,000人調査では、オンライン購入は若い世代で多くみられ、世代が上がるにつれ低くなっています。18~24歳では、14%が初めての高級品の購入がオンラインだったと答えています。25~35歳では9%、45~54歳では3%となっています。

また、18~34歳では、オンラインでの高級品の購入が42%にも上り、35歳以上の顧客層よりはるかに高い割合でした。

 

小売業者はEコマースに力を入れ始めている

オンラインショッピングの需要が高まる中、高級百貨店などは積極的にEコマース戦略に乗り出しています。Barneys New YorkやNordstromなどの大手デパートチェーンは、即日配送、オンラインでの購入/店舗でのピックアップサービス、製品の交換/返品を容易にすることで顧客がストレスを感じることなくオンラインショッピングできる環境を整えています。さらに、ラグジュアリーファッションのオンライン小売業者であるYoox Net-A Porter Group (YNAP)が、2016年の純売上高がほぼ18%増加たと発表されています。

高級品市場を支えるベビーブーマー

アメリカは、世界的に最も多くの高級品市場のシェアを持つ国です(2016年時点)。アメリカの高級品市場は850億ドルに上り、2021年にはさらに185億ドル増加すると予想されています。もしこの予測が正確であれば、5年間で約21%も増加することになります。

この高級品市場の成長を支えているのが1946年から1964年生まれのベビーブーマー世代です。2016年、最も高級品を購入したのは、年間総収入150,000ドルを超える50-54歳の人たちでした。2030年までに、65歳以上のアメリカ人は上位所得者の中で最大のグループになります。企業にとってはこのグループはとても重要な顧客層であるため、オンラインでの高級品の売り上げが増加すると予想されている中、この顧客層をどのようにオンライン市場に取り込むかが次の課題になるのではないでしょうか。

高級ブランドが直面する課題はデジタル化

高級品業界は今まで、偽造などの懸念からオンライン販売に消極的でした。しかし、デジタル時代の到来により、消費者は商品に関する情報を簡単に得ることができるため、高級品の価値に関する知識は高くなりました。また、スマートフォンなどのモバイルでインターネットにアクセスすることができるため、高級ブランドも高級品を扱う小売業者も、Eコマースはもちろん、モバイルアプリでのサービスの提供や顧客とのコミュニケーションといったデジタルへの対応が求められています。

出所:For Luxury Industry, Ecommerce Is No Longer a Luxury
The Luxury Sector’s Slow Shift to DigitalI
nside the $85billion US Luxury Goods Market: Slow Growth, but Still Leading the Pack


著者: Hitomi.N

IT企業で4年間のプログラマーとしての経験を積み、その後6年間プロジェクトマネージャー業務を行ってきました。渡米後はEコマースマネージャーとして、日本企業のアメリカ進出を支援しています。日々アメリカEC関連の情報収集を行い、最新のデータと洞察をもとに、戦略の最適化や新しいアイディアを考案し、クライアント企業に競争力のあるソリューションを提供しています。


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