ハンドメイド販売をビジネスに Eコマースサイト Etsy

ハンドメイド販売をビジネスに Eコマースサイト Etsy

趣味を活かして作成したハンドメイド作品を、出品し販売するEコマースサイトが増えています。

Etsyもその1つですが、Etsyが他の多くのプラットフォームと異なるのは、ハンドメイド作品の販売を「ビジネスとして展開する」という視点で構築されている点です。

ここではEtsyとは何か、どのような人がEtsyに向いているのか、Etsyを利用することのメリット、デメリットなどについて紹介していきます。

Etsyとは何か? どのようなサービスなのか?

Etsyは、ジュエリーやアクセサリー、服や靴、日用品や家具、陶器、工芸品や美術品など、ありとあらゆるハンドメイドの作品を販売するEコマースプラットフォームです。世界200か国で運営され、アクティブショップは100万以上、ユニークビジターは毎月6.000万人以上という数字だけでもすばらしいものですが、中でも注目すべきは、ビジターの平均滞在時間が約8.5分と長く、1回の訪問で平均16ページが閲覧されていることです。Etsyのビジターは、サイトに長くとどまり、多くのページを見て回るのです。

これは偶然ではなく、Etsyではマーケティングの側面が重視されており、ユーザーの興味をひきつけ、誰がこの作品を作っているか、なぜこんな作品を作るようになったのかを伝えることで、単なる「商品」ではなく、作品を介した作者とユーザーを結びつけるようなサイト作りになっているからです。

さらにEtsyの特色を具体的に見ていきましょう。

Etsyの特色

1. 洗練されたサイトデザインと美しい写真

Etsyではそれぞれの作品について、5枚まで写真がアップロード可能になっています。見込み客は作品の品質を、写真を通じて評価することしかできません。そのため、出品者は自分の作品を、ブランドイメージに合わせて、工夫を凝らして撮影しています。

各作品のメインの写真は、カテゴリーのトップにグリッド状にレイアウトされており、ユーザーは楽しみながら閲覧することができます。ウィンドウショッピングの楽しさとオンライン購入のしやすさを組み合わせたサイトデザインになっています。

2. SNSとの連動

EtsyはFacebookやPinterest、Instagram、twitterなどのSNSと連動することで、ビジターはお気に入りの商品やショップをキュレーションしたり、友人やフォロワーと共有することができます。個人の作品が、SNSと連動することによって、幅広い人々とつながり、Etsyを知らない人にまでも知ってもらえます。

3. 作り手と買い手をつなぐ

ハンドメイド作品の購入を希望する人は、単におしゃれな商品を求めているわけではありません。100円ショップで売られているようなマグカップではなく、ストーリーを持ち、作り手の顔が見えるマグカップなのです。

そのためEtsyで作者ページの「About」セクションを活用して、その商品の作者がどんな人かを伝えるストーリーを書くことができるようになっています。ハンドメイドの作品を作った人の思いや人となりを伝えることで、ユーザーはその作品のバックグラウンドを知り、単なる商品の売買を超えた、作り手と買い手の絆を育てることができるのです。

4. ショップ評価

購入後、購入者はショップを星とレビューによって評価します。買い手からの善い評価とレビューは、広告として大きな役割を果たします。そのため、出品者は顧客満足を高めるために、迅速丁寧、加えて魅力的なコミュニケーションを、購入者に向けて行っています。

どのような人がEtsyへの出店に向いているか

Etsyに向くのは以下の3つの要素を備えている人です。

1.  最低限のITスキルを持っていること

Etsyのプラットフォームは直感的に操作できる、使いやすいものですが、それでもアップロードや編集、メールの送受信、オンライン販売についての基本的な知識は必要です。

2.  Etsyに見合う価格帯の商品を持っていること

Etsyの中心的な価格帯は、50ドル以下の商品です。大多数の買い手は、50ドル以下で商品を提供しているショップを探しています。より多くの買い手にショップを見つけてもらうためには、その価格帯の商品を持っていることが必要です。

3.  販売をビジネスとして行おうとしていること

Etsyでは、商品の写真を撮影することから、商品説明や、作り手のストーリー作成などのページ作成から、顧客への連絡、包装から出荷、請求書の作成、在庫管理などの作業は、すべて出品者自身が行わなければありません。それだけの時間と労力を割ける人でなければ、続けていくのはむずかしいでしょう。

Etsyを利用するメリット・デメリット

メリット1.  個人のハンドメイド品が多くの人の目に留まり、ビジネスが成立する

Etsyを利用することの最大のメリットが、この点にあります。従来、個人のハンドメイド品は、商品数も限られ、またSNSを活用したとしても個人では拡散力に限界もあるために、ビジネスとして成立させることは困難でした。しかし、Etsyはそうした限界を取り除きます。

メリット2.  Etsyを利用することで、作家や芸術家として名を挙げ、販売範囲を広げれる

トップセラーの1人である陶芸家のジェイソン・ルガーは、それまで地方の工房で販売するだけでしたが、Etsyを活用することで、国内を超えて全世界から注文を受ける、人気陶芸作家になりました。

メリット3.  個人のウェブサイトを持つ必要がない

Etsyでは、作品を掲載するだけでなく、詳細情報として個人のストーリーや作品の背景を書くことができ、そこで注文・販売、ビジターとのコミュニケーションなど、すべてのことができるため、個人的なウェブサイトを作成し、維持管理する必要がありません。

デメリット 長時間労働が必要

ニューヨークタイムズに掲載されたEtsyの販売者のインタビューによると、フルタイムで販売している出品者は、ほとんどが1日13時間以上働いているということです。ハンドメイド品を作成し、Etsyでリスト化し、マーケティングを行い、見込み客からの質問に答え、請求書を作成し、作品を梱包して出荷し、アフターサービスまで行うのは大変なことです。確かに時間を投資することが、ビジネスの成長につながるのは事実ですが、Etsyに出店しようと考える人は、このことを知っておく必要があります。

まとめ

ハンドメイドの作品を販売するプラットフォームは数多くありますが、Etsyは出品者と購入者、およびサイト運営者による活気に満ちたコミュニティを形成しているという点で、際立ったサイトとなっています。

自分のハンドメイド作品を販売したい、作品作りを通して、ビジネスを起ち上げたいと考える人は、ぜひ検討してください。

また、ハンドメイド作品とは無関係のEコマースサイトを運営している人であっても、多くのビジターを集め、魅力的なプラットフォームを構築しているEtsyの手法は、参考にする価値のあるものです。

著者: Ami.T

在米15年。長らくトランスコスモスでのコールセンター事業運用に従事し、コールセンターの立ち上げや顧客管理業務を専門的に担当してきました。現在は営業として、日系企業が米国市場に進出する際のサポートを提供しています。米国市場は複雑で競争が激しいため、市場調査、販売戦略の開発、ローカルパートナーシップの構築など、包括的なサポートを行っています。

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