アメリカの【アルコール市場】と【Eコマース】の可能性 Part 2

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アメリカの【アルコール市場】と【Eコマース】の可能性 Part 2

前回は、アメリカのEコマースにおけるアルコール市場の未成熟な現状と、いくつかの要因から、今後の成長が確実視されていることを見てきました。第2回の今回は、現在浸透しつつあるオンラインでの販売モデルを取り上げ、それぞれの長所と短所を押さえつつ、オンライン販売を妨げるアメリカ固有の規制の問題、アルコールブランドの取り組みについて紹介します。

 

オンライン販売モデルの長所と短所

消費者がオンラインでアルコールを購入するには、基本的に以下の4つの方法があります。

1. アマゾンのような全国的なモデル

アメリカでは州ごとに様々な規制があるために、州によっては利用できない購入方法もあります。しかしamazon.comやWine.comなどのナショナルモデルならば、アメリカのどこにいてもオンラインでワインを購入することができます。こうしたプラットフォームでは、一般的な小売店よりもはるかに多い、数千から1万種類以上のワインを選ぶことができます。反面、この販売モデルで購入できるのはワインに限られ、また商品によっては手元に届くまで数日間を要する場合もあります。

 

2. マーケットプレイスモデル

マーケットプレイスモデルでは、いくつもの店舗の中から消費者が商品を調べ、サービスや価格などを比較しながら、どこで購入するかを選択することができます。消費者にとっては便利な反面、このマーケットプレイスモデルは州によっては利用できないところもあります。

 

3. アマゾンフレッシュに代表されるオンライン食料品店モデル

消費者は、アマゾンフレッシュなどのオンライン食料品店を通じてアルコールを購入することもできます。オンライン食料品店モデルはナショナルモデルよりも利便性に優れており、即日配達も可能なため、夕食時にワインやビールを楽しむこともできます。反面、利用できる地域に限りがあり、また種類も

地元のアルコール販売店よりも限られています。

 

4. ローカルオンデマンドモデル

現在アメリカでアルコールのオンライン販売を牽引しているのが、MinibarやThirstieなどのサードパーティのアプリを通したローカルオンデマンドモデルです。消費者と地元の小売業者をつなぐアプリを通じて、多くの消費者がビールやワインなどを注文します。たとえばパーティの最中にビールが足りなくなった時にアプリを通じて注文すれば、地元の販売店が1時間もすれば届けてくれるという、利便性・即時性に優れたものです。反面、品揃えは地元の酒屋のものに限られ、またほかの方法に比べて高額であり、配送料も負担しなければならないというデメリットもあります。

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オンラインでのアルコール販売の障壁

一方、アメリカではアルコールのオンライン販売を妨げている法規制がいくつかあります。1933年にさかのぼる古い法律で、今の時勢にとなっては時代に合わないものですが、依然としてアメリカにおけるアルコールの販売と流通を規制しています。

 

3段階流通システム

アメリカではアルコール生産者が直接、消費者に販売することを禁じる3段階流通システムが取られています。アルコールを販売するまでに、アルコール生産者、卸売業者、小売業者(アルコール販売店、レストラン、バーなど)という独立した3者を経由しなければならないのです。アルコールブランドや卸売業者が消費者に直接販売することはできず、消費者に販売できるのは、州のライセンスを受けた小売業者のみです。そのためメーカー側が独自にEコマースサイトを開設することはできず、消費者のニーズに直接応えることのできない構造が障壁となっています。

 

州ごとに異なる出荷の規制

アメリカでは、アルコールの流通や販売を規制する法律は、州ごとに定められています。州によってはアルコールの量・種類が制限される場合があり、オンラインでの販売の障壁になっています。

 

年齢制限

実店舗と同様、オンラインでもアルコール販売には年齢確認が義務付けられています。そのためオンラインで販売する際には、購入者の年齢を確認するための措置を取る必要があります。アマゾンでは購入時に年齢確認を行うだけでなく、宅配時には成人が受け取りの際にサインするシステムを取っています。クリック&コレクトモデルの場合は、たとえばドライブスルーで受け取る際、チェックアウトカウンターで独自。

 

オンライン販売拡大に向けたアルコールブランドの取り組み

法規制によって消費者に直接販売することが不可能なアメリカのアルコールブランドですが、消費者の購買行動に影響を与え、小売業者のオンライン販売を後押しするために、いくつかの取り組を始めています。

ひとつには、アマゾンやモバイルアプリをはじめとするEコマースサイトでのイメージの最適化や、ストーリーの提供、レシピやパーティプランの提案といったオンラインコンテンツを充実することです。そのほかにも、消費者の関与をうながすような体験型プログラムを開発し、SNSで注目を集め、消費者を引き付けています。

また、既存の小売業者のオンライン活動の支援も行っています。ビデオコンテンツや様々なメディアを通じて小売業者と密接に協力し、実店舗の販売同様オンラインを通じた販売においても、信頼関係を構築することが、これまで以上に求められています。

さらに、異業種との提携も大きな可能性があります。食事配送アプリとのパートナーシップによって、オンラインでのアルコール購入と食事配送サービスを結び付けることが可能になります。

 

最後に

アルコールのオンライン販売は、大きな可能性を秘めた分野です。アメリカ固有の障壁はありますが、消費者はオンラインでの購入を求めています。アルコールがオンラインで簡単に消費者の元に届けられるよう、小売業者、アルコールブランド、テクノロジー企業が一体となり、など、様々な取り組みが進められています。

 

出所:How Alcohol BrandsCan Tap the eCommerceOpportunity
WHAT’S IN STORE FOR ONLINE GROCERY SHOPPING


著者: Ami.T

日本の大学を卒業後に渡米し、幅広くデジタルマーケティングの経験を積む。現在はトランスコスモスアメリカでEコマース事業に従事し、いつもアメリカの最新Eコマース事情やデジタルマーケティング手法、市場動向にアンテナを張り、新しい施策を積極的に試みています。


 

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