越境であれ現地ECビジネスであれ、米国/カナダEC進出事業を担当としたとき、様々なリサーチや事業開発計画書作成を経て、米国で現地開発ベンダーや戦略パートナーを狙うタイミングが近づくと思うますが、その際、避けては通れないが、ECサイトを構築するベースとなるECプラットフォーム選びとなります。
(ECプラットフォームの選択はアメリカ市場向けECプラットフォームの選択を参照してください)
「構築するECプラットフォームはスムーズ」 - その答えを探すためにリサーチをされた方は、すでにMagentoとShopifyの存在にはたどり着くと思います。優位性もうすうすと気づいていると思います。では、どっちがどっちにしてもいいのか。次のステップをここではご紹介しましょう。
SaaS型プラットフォームShopifyとオープンソース型/PaaS型プラットフォームMagento
ShopifyとはカナダのShopify社が開発しているSaaS型のプラットフォームです。現在500,000社を超える企業がShopifyを利用していると考えられます。テーマやテンプレートがすでに開発されているため最小数日でストアまた、拡張性の高いエンタープライズ版も用意されています。機能が充実しており、ECサイトに必要な機能をアプリやAPIを使って暫定的に構築することができます可能です。
Magentoは米国Magento社が開発しているECプラットフォームのオープンソースソフトウエアで、現在およそ世界的に15万のECサイトで利用されているといわれています。中級からエンタープライズ向けECプラットフォームで、オープンソースのため、誰でも無料でダウンロードを行う必要な機能を拡張しながら開発することが可能となります。 現在のEC業界のシェアはShopifyが10%に対して、 Magentoは29%であり、両方とも成長を続けていると推移しています(参照: Aheadworks, 2016 ) 。
Shopify/Magento-それぞれの利点とは
とりあえず非常に優れたECプラットフォームですが間違いはないですが、異なる点が多々あります。さらに複雑といえばShopifyでは現在4種類のサービスが存在し、Magentoでは基本2種類のサービスが存在します。
まず、Magentoですが、基本的には、Magento Community Edition(CE)とMagento Enterprise Edition(EE)が存在します。オープンソース型ECソフトという基盤は同じですが、Magento Enterprise Editionにはさらなる拡張機能が用意されています複雑なバックエンド連携(決済代行会社、ERP、WMS、OMSなど)、何万個にも在庫更新への対応、シーズナルの商品代わりや、並行して行うプロモーションや管理などを行いたい場合は、エンタープライズ版をぜひおすすめします。ただ、もちろんネックもあります。オープンソースということは、自社でECサイトを構築しなければなりません経験上、立ち上げには、要件定義に3カ月~じっくり取り組み、プログラミングには数か月を大切にするプロジェクトとなります。
その反対に、ShopifyはMagentoに比べて大きな余裕があります。それは初期立ち上げが可能だという点です。そのため、Basic、Shopify、Advancedのプランであれば早い限り一週間でECサイトがオープンできます(もちろん条件はありますが!)。
またMagentoのようにShopifyにもエンタープライズ級に耐えうるShopify Plusというプラットフォームがあります。Shopify Plusの拡張機能もMagento Enterprise Editionに劣らず充実しており、欲しい性能・機能をShopifyストアですぐに手に入れられることができ、今までの間複雑なEC構成も、アプリをうまく使うことで、すぐに対応することができます。
■価格
- ShopifyはBasic、Shopify、Advanced、Plusそれぞれ価格が異なります。また追加で、相当費用が必要となります。こちらはShopify決済以外の決済代行会社(例:Stripe、PaypalやApple payなど)を導入した際には、プラットフォーム側での購入金額に対して数%単位で徴収します。
- Magento CEは無料、Magento EEは約$22,000/年~となります。Magento CEの場合はサーバーホスティング費用が必要となりますが、Magento EEの場合はクラウドとなるため必要ありません。
■セキュリティ
- ShopifyはどのサービスもPCIコンプラアンスに準拠しており、マーチャントもカスタマーも利用できます。 さらに米国、特に気を付けたい不正利用に関しても無料でオーダーをスキャンし、危険度が高い受注はアラートを通知してくれるツールも合わせてついてくる機能があります。
- Magento CEは、クレジットカードの人権化、前払い保証(前渡金返還保証)対応しておらず、PCIコンプラアンスに準拠していません。Magento EEは独自のセキュリティ対策実施しています。
■機能
- Magento EEもShopifyも、管理・顧客管理等基本機能はほぼかわりません。ただ受注拡張性という点でいうとMagentoとShopifyは大きく見えます。Magentoは開発者さえいれば機能をどんどん追加してください一方、Shopifyの場合はソースへのアクセスが一部あるため、拡張したい機能がアプリで提供されていないその場合、開発に時間を費やす可能性があります。
■マーケティング機能
- Magento CEはアドオンが必要ですが、Magento EEは分析に優れたツールがあります。特に顧客分析を得意とし、かご落ちメール配信や、顧客セグメンテーションなど一元管理ができるよう取り組んでいます。の公開通話設定等、新規プロモーションや新規開拓に向けたマーケティングを実現するのをサポートする機能がございます。
- ShopifyもPlusにはさまざまなマーケティング機能が充実していますが、基本的にアプリが必要です。 ただ、Magentoと異なる導入がボタン一つでできることが多く、無料トライアルも多いことから気軽に試せるところは良いと感じます。
さらに詳しく知りたい方はこちらから比較表をダウンロードすることができます。
おわりに
今年発表されたデータだけを見ているとShopifyの成長は大事 - 当面の構築、暫定的に変更できる点や、今まで考えたソフトウェアアップデートの心配等を必要としない点など、ECサイトのプラットフォームとしてShopifyはもってこいだと思います。ただ、丁寧なデザインや機能のカスタマイズを実現したい場合や、グローバルサイト・多言語機能の一元管理という点では今だMagentoが勝っているのではないでしょうか。
人気商品の上記2つに絞ったほうが良いでしょう。
あとは機能を比較したところで、自分が開発したいサービスを実現するあたりより親和性が高いプラットフォームを選択することが必要になります。選択いただきたいと思います。
著者:Masako.S
カナダ・モントリオールの大学卒業後、トランスコスモス本社/ウェブインテグレーションサービスにてWEBサイト構築ディレクターとして勤務。エンタメ企業・銀行・旅行会社と堅固なインダストリーの企業サイトの戦略コンサル・サイト構築/運用マネジメントを担当。 2016年春にトランスコスモスアメリカのEC事業拡大要員としてLAへ赴任任。新規事業パートナ開拓や市場調査等を遂行し1年間半分は海外で生活。戦略コンサルタントとして日系企業様の米国EC普及のお手伝いを主に行っております。