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成功事例に学ぶ「ライブチャット」の活用法

11月 19日, 2018
By : Kazuya.S

米国でのライブチャット利用

日本ではあまり目にすることのないECサイトでのオペレーターによるライブチャット対応ですが、米国では53%の消費者がサポートに電話する前にライブチャットでの解決を希望するというデータがあるほどライブチャットを利用する消費者は年々増加しています[1]。

今回はライブチャットの導入で米国での売り上げを飛躍的に伸ばしたHooverの事例を紹介したいと思います。日本では通販でしか販売しておらず、日本人にとってはあまり馴染みがない企業かもしれませんが、米国では家庭で使用されている掃除機でDyson(14%)、Bissell(12%)に並ぶ掃除機メーカーです。(Hooverは13%)[2]

Hooverの挑戦

自社サイトへ毎月100万人以上の消費者が訪れるHoover社では、オンライン収入の増加を目指す手段として、サイトへのトラフィック増加ではなく、サイト訪問者の中から商品を購入してくれる人の割合を増やすことが最優先事項でした。

そのために同社は購入意欲の高いサイト訪問者をシームレスに識別し、潜在的なセールスリードへの効果的なアプローチが必要でした。チャット対応に先立って設置したサイトのお問い合わせフォームでは、フォームの受診から15分以内にアウトソース(委託)のオペレーターが訪問者に電話を掛け、必要に応じて同社の営業担当者に電話を転送していました。

Hoover社のマーケティングマネージャー、Marybeth Gavin氏は当時を振り返り、「フォームが提出されてから架電まで15分以内であっても、繋がりが一度切れてしまったことによって非常に大きなロスが発生していることに気づきました。カスタマーとの繋がりを切れることなく購買につなげる方法を探していました」と語っています。

Gavin氏のチームは訪問者が同社への関心を失う前にアウトソースのオペレーターが連絡を取り、訪問者の購入意欲を的確に把握することができるツールを導入し、対応していないオペレーターを無駄に待機させることなく限られたリソースで最大限の収益を見込みたいと考えました。

LivePersonのソリューション

Hoover社はLivePersonのTimpaniセールス&マーケティングソリューションを使って3ヶ月間のパイロット運用を行い、訪問者に抵抗の少ないオンラインチャットが電話よりも良い結果をもたらすかどうかをテストしました。

LivePersonのルールベースのプラットフォームを使って、企業は訪問者の閲覧時の行動に基づき、潜在的な購入者を特定することができました。これらの訪問者にはオペレーターを使って、タイピングによるインスタントなライブチャットを提供しました。

サイト訪問者の興味を引くベストなタイミング

チャットをポップアップさせるタイミングはそれまで行なっていたウェブフォーム/架電で、失われる可能性のあるリードを引き付ける重要な要素でした。ポップアップは適切な時期に表示され、目立つことなく迷惑にならずに、購入に関心のある訪問者に表示される必要がありました。

そのため、プラットフォームのビジネスルールを活用して、特定の訪問者の行動後や購入に積極的とみられる訪問者にチャットのポップアップを表示しました。ルールエンジンはチャットの招待を1人1回、訪問ごとに制限し、自分で登録プロセスを正常に完了しなかった訪問者にのみチャットを提供しました。

同社は、訪問者が商品の購入を検討する可能性が最も高いページ(Hoovers.comホームページ、商品のオプションページ、ウェブフォームのページ)でチャットをテストしました。 LivePersonの自動化されたアプリケーションは、ビジネスルールをトリガーとしてライブチャットがポップアップされた訪問者の行動を追跡しました。

シームレスなリードの引き渡し

チャットの会話が発生した時点で、アウトソースのエージェントがサイト訪問者を選別し、Hooverの営業担当者へリードを引き渡しました。この時、同社のCRMシステムに自動的にフィードされ、チャットで収集された情報はすぐに販売担当者に提供されます。エージェントは引き渡しの際に完全なチャット記録を送信し、Hooverの社内チームがそのまま、訪問者のチャットウィンドウ内でシームレスに会話を継続できるようにしました。

3ヶ月間のパイロットの終了時に、HooverはHoovers.com全体のLivePersonのチャット機能を標準機能として拡張し、ライブチャットはフーバーの主要なコンバージョンの1つになりました。チャットした訪問者の30%がセールスチームのリードとして引き継がれます。サイト訪問者の購入率は導入前と比べほぼ倍増、チャットを通じて購入した平均購入額はそれまでの平均購入額から11%も増加しました。

高いコストパフォーマンス

チャットによる売り上げ向上によって、チャットの実装費は開始月の売り上げによって払い切りました。 LivePersonの技術による投資回収率は500%で、これまでのマーケティングプロジェクトの中で最も高いものでした。

さらにこのチャット運用により、以前は営業担当者がアプローチから実際の販売まで平均で25-30日間必要としていた販売サイクルが大幅に短縮されました。51%の顧客は8日以内に商品を購入し、さらにその中の半分は1日以内で購入していたことがわかりました。

最後に

今回はHooverの事例を紹介しましたが、このようなライブチャットの高い効果は他の業種でも数字として出ています。ライブチャットは返答スピードが早い電話対応と気軽に連絡しやすいメール対応のいいとこ取りをしていると言われています。米国でEコマースを始める際は、売り上げ促進の観点からも是非ライブチャットの導入をお勧めします。

参考:Case Studies : Hoover
[1] The Stats Behind Chat: It’s Popular and Growing
[2] What vacuum cleaners are most popular in 2015?


著者: Kazuya.S

カスタマーサポート環境 提案・構築

在米14年。トランスコスモスではIT部に所属し、社内外のカスタマーサポート環境を支援。現在は主に日系企業を対象に、チャットボットの提案や構築を行っている。