single-post-thumbnail.jpeg

消費生活スタイルにまで?Amazonのもたらす影響力とは

アメリカはもちろん、世界のあらゆる地域のEC市場をAmazon抜きに語ることはできません。日本でもAmazonの配送を担うヤマト運輸が「ドライバーへの残業代未払い問題」という形で、影響力を感じさせる出来事がありました。Amazonの影響力は、EC市場を飛び越えて、人々の生活スタイルの変化にまで及んでいます。アメリカ市場でECを展開していく上で、Amazonが消費者にもたらした影響を把握しておく必要があるのではないでしょうか。

アメリカ人はどれくらいAmazonを利用しているか?

そもそもアメリカEC市場ではAmazonはどれくらい利用されているのでしょうか。Marist pollによると、実に2/3近くのアメリカ人が「Amazonでオンラインショッピングの経験がある」と答えています。これは、アメリカのオンラインショッピング人口の92%にあたり、ほぼ全員に近いということができます。また、オンラインで買い物をする際に、多くの人が「まずはAmazon」で買い物を始めることもわかりました。

また、アメリカのオンラインショッピング人口の約30%が「少なくとも月に1回」はAmazonを利用していると答えています。この割合は、Amazonプライム会員になると、約40%に上昇し、Amazonでの買い物が日常生活に根付いていることが伺えます。

Amazonがアメリカにもたらした変化とは?

Amazonは現在では、オンラインショッピングのみならず、映画やドラマ制作、クラウド型ストレージの提供、アレクサと呼ばれるスマートスピーカーの開発など、EC以外の領域にも影響力を強めています。では、アメリカの消費において具体的にはどのような変化をもたらしたのでしょうか。

・家族での消費スタイルに変化
従来は、週末に家族で大型ショッピングモールに行くという一般的だった消費スタイルもAmazonの定着に合わせて変化しています。そのような時間と労力を割かなくても、平日に欲しい物をクリックしておけば、週末には必要な物が家まで届くようになりました。アメリカの大型モールや店舗を持つ小売業者は、大きな影響を受けざるを得ない状況です。

・日用品のオンライン購入が定着化
Marist pollによると、多くのアメリカ人がシャンプーや歯磨き粉などの日用品や缶詰めなど生鮮以外の食料品はオンラインでは買わないと答えています。しかし、Amazonではこのような商品が購入される傾向にあります。定期購買の設定をすれば、購入という行為すらなく、定期的に家に届くことになります。
一方で、衣服や靴に関しては、「Amazon以外で購入する」という割合が多くなっています。

・「ECサイトの配送は2日以内」が一般化
ほとんどの小売業者が「配送は2日以内」を実施していますが、この慣習はAmazonが発端となっています。今では、多くの消費者はこの特典を当たり前のものとして受け止めています。

Amazonの消費者への影響を考慮した販売戦略を

Amazonが消費者に与える影響の一部をご紹介しました。アメリカでのEC展開を検討される方にとって、Amazonへ販売網を広げるか、独自のブランディングで販売を拡大するかは大きなポイントになるかと思います。しかし、いづれの路線を取るにしても、Amazonは消費者の生活スタイルにまで深く影響を及ぼしつつある、ということを念頭に置くべきでしょう。その上で、戦略や特典などを検討した方が、より消費者に受け入れられやすいものとなる可能性があります。

 

参照:www.npr.org


著者: Ami.T

在米15年。長らくトランスコスモスでのコールセンター事業運用に従事し、コールセンターの立ち上げや顧客管理業務を専門的に担当してきました。現在は営業として、日系企業が米国市場に進出する際のサポートを提供しています。米国市場は複雑で競争が激しいため、市場調査、販売戦略の開発、ローカルパートナーシップの構築など、包括的なサポートを行っています。