single-post-thumbnail.jpeg

飲食料品業界のトレンド ~EC参入が今後の成長のカギとなる~

3月 9日, 2021
By : Shunji.O

他の商品よりもはるかに「新鮮さ」が重視される飲食料品業界では、消費者の手元に商品が届くまで多くの工程が生じるオンライン販売は不向きだと考えられていました。しかし、近年の技術発展で即日配達が可能になったことや、新型コロナウイルスによって人々の生活様式・価値観が変化したことから、飲食料品業界においてもオンライン販売の売上が急激に伸びており、注目を集めています。今回は変化の時期を迎えている飲食料品業界のトレンドについてまとめ、今後飲食料品の売上を伸ばすうえで重要になるポイントを紹介します。

新型コロナウイルスによる飲食料品業界の売上の変化

人々の生活様式を大幅に変えた新型コロナウイルスですが、その影響は飲食料品業界においても例外ではありません。まずは売上の変化からその影響を見てみましょう。Coresightの調査によると、飲食料品業界におけるオンライン売上増加率(前年比)は2019年では22%ほどでしたが、新型コロナウイルス対策として行われた全国的なロックダウンによって生活必需品である飲食料品のオンライン販売需要が増したため、2020年では約40%と急増しました。飲食料品小売業の売上高に占めるオンライン売上の割合に注目すると、2019年は2.6%ほどでしたが2020年では3.5%を占めその額は380億ドルにも及ぶと予測しています。

新型コロナウイルスによる飲食料品業界の消費者意識の変化

次に新型コロナウイルスが消費者意識に与えた影響について、Coresightが飲食料品の消費者を対象に行った「飲食料品について、過去1年でオンライン購入したか、また今後1年でオンライン販売を利用しようと思うか」というアンケート調査の結果をもとに見ていきましょう。上記の質問に対する回答は2018年では「23.1%、25.8%」、2019年では「36.8%、39.5%」、2020年では「52%、62.5%」となっています。両項目とも年々その割合が増えている点、両項目の割合の差は2018年・2019年とも数パーセントほどだったにもかかわらず2020年にはその差がおよそ10%にもなっている点から、「飲食料品のオンライン購入は少しずつ注目を集めていたが、今後は急激にその需要が高まる」と予測しています。

以上の通り、今後は飲食料品業界においてもオンライン販売強化が総売上を伸ばすポイントとなります。

 

飲食料品のオンラインショッピングで利用するECサイトの多様化

オンラインショッピングの際に利用される各ECサイトの近況について、Coresightが消費者を対象に行った「オンラインで飲食料品を購入する際にどのサイトを利用するか」という調査結果をもとに見てみましょう。この調査では2019年2020年ともに消費者のうち60%程度がAmazonを利用すると回答し、ここ数年のAmazonのECにおける存在感の大きさが見てとれます。しかし2019年から2020年にかけての変化という観点から調査結果を見てみると、Amazonを利用すると答えた消費者は横ばいであったのに対し、Walmartを利用すると答えた消費者は約15%、Targetを利用すると答えた消費者は約7%、Costcoを利用すると答えた消費者は約6%増加しています。このように消費者がショッピングで利用するECサイトは徐々に多様化してきています。この傾向及びオンラインショッピングでは商品のサイト間比較が容易にできることを考慮すると、消費者に好条件を提示しどれだけ自社商品の注目を集めることができるかという点が売上に大きく影響すると考えられます。

オンライン販売を行う際に意識すべきこと

前述の通り、売上を伸ばすには消費者に他社以上の好条件を提示することが重要です。ではその好条件を提示するために意識すべき点は何でしょうか。ずばり、ターゲットを正確に把握することであり、主に次の2点が重要なポイントとして挙げられます。1点目はミレニアル世代が世帯主になり始めており、彼らは時間に対してお金を支払うことをいとわない傾向にある点です。実際の調査でもミレニアル世代の25%は即日配達などの時間を節約するサービスに追加料金を支払うということが明らかになっています。したがって、配達サービスの充実度は消費者の注目を集めるうえで欠かせないと言えるでしょう。2点目はアメリカの成人が行う飲食料品のオンライン購入のうち、一般飲食料品の購入は15%ほどにとどまっており、特定の場所でしか入手できない飲食料品の購入が25%にも及ぶという点です。以上の2点をふまえてターゲットのニーズに合うように商品を売り出すことを意識しましょう。

また、販売に利用するECサイトを選択する際には多種多様なECサイトの中から、どのサイトであればより効率的に消費者にアピールできるのかを意識しましょう。例えば「Mercato」のように、配達地域を絞っての販売など各社の販売戦略に合わせた柔軟なオンライン販売を実現できるECサイトもあります。必要に応じてこのようなECサイトを活用することで特定の需要にピンポイントで対応し、効率的にオンライン売上を伸ばすことができるでしょう。

まとめ

今回は飲食料品業界においてもオンライン販売が注目され始めていること、オンライン販売参入にあたって意識すべきことについてまとめました。オンライン販売を検討している方は是非参考にしていただければと思います。

 

出所:2021 trend outlook: E-commerce for the food and beverage industry
Online grocery sales to grow 40% in 2020
How to Profit From Online Grocery Trends – On Your Own TermsS


著者: Shunji.O

デジタルマーケティングマネージャーとして5年経験を積み、渡米後は10年間Eコマース事業に携わってきました。現在、トランスコスモスアメリカでプロジェクトマネージャーとしてアメリカ市場におけるEコマース戦略の立案と実行に注力しています。市場動向の分析、競合分析、販売戦略の開発に加え、デジタルマーケティングマネージャーとしての経験を活かしてオンライン広告キャンペーンの最適化など、幅広いマーケティング活動を通じて事業成長を促進しています。