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【アメリカ EC】ブラックフライデーに忍び寄る影 2018 アマゾン プライムデーの驚異の売上

アメリカでのショッピングビッグイベントといえば、やはりブラックフライデーが浮かぶのではないでしょうか?11月の第4金曜日に在庫一掃セールを行うこの日は、長年小売業において「最も商品が売れる日」とされてきました。しかし、近年ECの普及によって、Amazonが毎年7月に行う「プライムデー」がその存在を脅かしています。ということで、近年のブラックフライデーとAmazonプライムデーを比較していきましょう。

EC市場はブラックフライデー期間において記録的な成長を遂げている

Adobeアナリティクスによれば2017年の「サンクスギビングデー」と「ブラックフライデー」の売上を合算すると、前年比17.9%増の79億ドル(8690億円=1ドル/110円換算)にも達しています。一方、EC市場のセール開始日である「サイバーマンデー」も、予想された66億ドルに迫る65.9億ドル(7249億円=1ドル/110円換算)の売上で、ブラックフライデーらと同様の伸びを見せました(前年比17%増)。

2018年も昨年ほどの成長率とはいかないものの、2桁成長は見込める予測されています。また、アマゾンに関して言えば、違う角度からの期待も持てそうです。Hitwise社によると、「2017年のブラックフライデーに行われたオンライン上の取引の50%以上がAmazonで行われた」というデータが出ました。Amazonのプライム会員が増えることで、この数字もさらに増えていくことが考えられます。

年末商戦(ブラックフライデー)の期間は、11月全体に

近年、ブラックフライデーに関わるセール期間が延びています。Amazonやウォルマートの小売業者の多くが、「ブラックフライデー」の数日~数週間前からセールを開始しており、11月全体を”ビッグ・セール・イベント”として扱うようになっています。消費者は「ブラックフライデー」としての1日にまだ魅力を感じていますが、ブラックフライデー後の休日に買い物に行く人も増えています。これは2018年も同じ傾向になると予測され、いつか「ブラックフライデー」という縛りが無くなるかもしれません。

2018年Amazonの「プライムデー」は過去最高の売上を記録

2018年07/16・17の2日間にわたって行われた36時間の「Amazonプライムデー」では技術的な問題が発生したにもかかわらず、売上は昨年比66%以上の増加となりました。この売上にはAmazonのプライベートブランド(ファイアースティックなど)が非常に大きく影響しました。

この「プライムデー」では開始後の63分間に、カートに商品を追加できなかったり、勝手にチェックアウトされる事態のトラブルに見舞われましたが、それでも過去最高の売上を記録することができました。というのも、Amazonの顧客はトラブルが起きたことで購入をやめることはなく、復旧した残りの約35時間で再度取引を行っていたからです。Amazonは少しのトラブルは気にしない、非常によい顧客を抱えていると言えるでしょう。

ではなぜ、Amazonの「プライムデー」はこんなにも顧客に支持されるのでしょうか?ある分析によると、2018年Amazonプライムデーで販売された商品の67%が「ブラックフライデー」で販売された商品よりも安く、さらに15%の商品は同価格であったそうです。つまり、82%の商品が「ブラックフライデー」と同等、もしくはそれ以上に安い価格で手に入れることができました。また、昨年の2017年には76%もの商品が「ブラックフライデー」よりも安く、驚異的な価格力を発揮していました。したがって、バーゲン狙いの顧客にとっては「ブラックフライデー」よりも、「プライムデー」の方が間違いなく商品を安く購入できるチャンスとなっています。

そして、やはりAmazonの自社製品の勢いは凄まじく、17のAmazon製品のうち6商品はブラックフライデーよりも安く、7商品は同等の値段で販売されました。しかも、残りの4商品は2018年に新発売だったため比較ができません。すなわち、すべての製品がブラックフライデーと同等、もしくは安く買えたという結果になります。そのような背景から、2018年の「プライムデー」はAmazon史上最大のショッピングイベントとなりました。さらに、「プライムデー」前日のプライムメンバーへの加入者は、過去一番の加入者数であったことも、「プライムデー」にかかる顧客の期待を物語っています。

通常の3.1倍~3.6倍を売り上げる年末商戦に必要な施策とは

「ブラックフライデー」は通常の日よりも平均して3.6倍、「サイバーマンデー」は3.1倍を平均して売り上げると考えられます。

この機会を逃さないために、気をつけておきたいポイントがいくつかありますのでご紹介致します。

・在庫確保

→平均約3倍の売上に耐えるようにする

・カスタマーサポートやWEBサイト対応のスタッフの増員

→スタッフ不足や売上を失うリスクに比べても、コストははるかに軽く済む

・ウェブサイトの画像の最適化

→読み込みの遅いウェブサイトは問題。サイトの訪問者が商品を購入する前にページを離脱してしまう可能性が高いため、画像容量を減らしてページ読み込みのスピードを高める。スマホからの顧客も逃すこと無く売上につなげられる。

ビッグ・セール・イベントには事前の準備をしっかりしよう

「ブラックフライデー」に続き、「プライムデー」も顧客のビッグ・セール・イベントとして浸透しつつある昨今。この売上が伸びる大切な機会を逃さないためにも、自分たちに合った販売戦略を立て、顧客の気持ちを考えたサイト設計やカスタマーサポートの準備をすれば、必然的に売上を伸ばすことができるのではないでしょうか?

出所:Most 2018 Prime Day deals were lower than Black Friday prices
Prime Day 2018 sales cross $4 billion
4 Early Predictions for Black Friday 2018
Black Friday Ecommerce Trends: An Evergreen, No-Nonsense Guide


著者: Masako. S

米国の大学でマーケティングを専攻。現在はトランスコスモスアメリカにて、EC・事業開発/ チャットボット担当。米国EC業界の動向調査・最新ツールの導入に、熱心に取り組んでいる。