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EC担当者が知っておきたいアメリカの売上税ガイド

11月 17日, 2020
By : Ami.T

複雑でわかりにくいアメリカの税制ですが、アメリカでビジネスを行う上では、基本的な仕組みを把握しておくことは必須です。本記事では、EC担当者が知っておきたいアメリカの売上税の基本とネクサスについて説明します。

免責条項: このブログ記事はアメリカの売上税をよりよく理解するための背景情報を提供するものです。税理士があなたの具体的な状況に応じて与える法的助言とは異なるため、記事内で扱っている情報やその正確さの解釈についての助言を望む場合は、税理士にご相談ください。この記事を法的助言、あるいは特定の法的解釈をすすめるものとして頼らないでください。

1. 売上税とは?

商品を購入した消費者が負担し、販売業者が代理で徴収する税で、以下の5点の特徴があります。

  1. 売上税は消費者が商品を購入した際に負担し、販売業者が代理で徴収する
  2. アメリカの売上税は州が課すだけでなく、州内の群などで独自に課せられている売上税もある
  3. 50州のうち、アラスカ州、デラウェア州、モンタナ州、ニューハンプシャー州、オレゴン州を除いた45州とワシントンD.C.が売上税を課税している
  4. 税率は州ごとに異なり、売上税申告の期日、課税対象の商品とサービス、請求額も異なる
  5. 州間取引の場合は、「ネクサス」によって課税が決まる

販売業者が売上税を徴収する必要があるか、どれだけ徴収するかの基準になるネクサスについて、くわしく見ていきましょう。

売上税ネクサスとは?

「ネクサス」とは「つながり、結びつき」を意味するラテン語から来ています。その言葉通り、売上税ネクサスは、販売業者がその州に「ネクサス」を持っている場合に売上税を課すことになります。ビジネスが以下の条件の場合、「ネクサス」があるとみなされます。

  • 拠点:本店、倉庫、店舗などがある場合
  • アフィリエイト:手数料を取って顧客をオンラインショップに送る業者がいる場合
  • 人事:従業員、営業担当者、一部の請負業者がいる場合
  • ドロップシッピング:顧客に在庫を出荷する業者がいる場合
  • 在庫:商品を保管する場所がある場合
  • 一時的な販売:展示会やクラフトショーで販売する場合
  • 経済的ネクサス:約半数の州が、年間 $100,000
 

外国の販売業者はどんな時に売上税を徴収しなければならないのか?

アメリカ国籍を持っていない販売業者の事業は、以下の3つに分けられます。

  • アメリカ国内でビジネスを営み、米国内で事業を営んでいる販売業者:売上税のネクサスがあると見なされ、アメリカ国民同様、売上税を徴収する必要がある
  • アメリカ国外に住んでいるが、事業が売上税ネクサスのいずれかを満たしている場合:その州の売上税許可証に登録し、その州での購入者から売上税を徴収する必要がある

※売上税許可証なしに徴収することはできない
※アラスカ州、デラウェア州、モンタナ州、ニューハンプシャー州、オレゴン州では売上税を徴収する必要はない

  • アメリカ国外に住んでおり、売上税ネクサスがない場合:アメリカの顧客に販売を行う場合でも、アメリカのどの州にも売上税ネクサスがない場合は、売上税を徴収する必要はない

外国の販売者は売上税にどのように対処すればよいのか?

アメリカの売上税は複雑ですが、以下の手順で進めることができます。

1.ネクサスがある場所を特定する

どこにネクサスがあるのか州を確認する。フルフィルメント by Amazon(FBA)プログラムで販売する場合は、インベントリレポートからAmazon倉庫を持つ州を確認できる。

2.扱う商品がネクサスの対象かどうかを確認する

州によって課税対象は異なり、同一の商品であっても課税される州とされない州がある。また同じ州の中でも特定の地域だけ課税される場合があるので、注意が必要。また非課税品目から売上税を徴収するのを避けるために、ショッピングカートの売上税設定を調整しておく必要がある。

3.ネクサス州の売上税許可証に登録する

売上税許可証に登録するためには個人納税者識別番号(ITIN) が必要となる。多くの州ではオンラインでは売上税許可申請を処理できないため、電話した上で紙の売上税フォームに登録または記入して州に郵送する必要がある。

4.米国の銀行口座を開設する

徴収した売上税を納入するためには、自動資金決済センター(ACH)の送金のみを受付けている州がほとんどである。ACH送金を利用するためには、アメリカ国内の銀行口座を開設しなければならない。口座開設には事業者がアメリカ国内にいる必要がある。

5.オンラインショッピングカートとマーケットプレースで売上税徴収を設定する

事業の中に売上税ネクサスが含まれる場合は、すべての販売チャネルですべての購入者から売上税を徴収する必要がある。

6.徴収した売上税の額を報告する

州の売上税申告書を提出する準備をするときは、州全体だけでなく、各郡、市、その他の特別課税地区で購入者から徴収した売上税の額を決定する必要がある。

7.売上税申告書を作成する

ほとんどの州ではオンラインで報告書が申請できる

ビジネスで関わる州の売上税を入念に調べて対処しよう

アメリカの売上税のシステムは非常に複雑で、州ごとに異なっています。そのため、自社ビジネスが対象としている商品が、その州や地方の課税対象であるかどうか、また売上税ネクサスの対象かどうかを調べると同時に、専門家に依頼することをおすすめします。自己調査よりも専門家に依頼した上で、効率的かつ安心してECビジネスを開始してください。

出所:The Seller’s Guide to eCommerce Sales Tax
U.S. Sales Tax Explained for both U.S. and Non-U.S. Sellers


著者: Ami.T

在米15年。長らくトランスコスモスでのコールセンター事業運用に従事し、コールセンターの立ち上げや顧客管理業務を専門的に担当してきました。現在は営業として、日系企業が米国市場に進出する際のサポートを提供しています。米国市場は複雑で競争が激しいため、市場調査、販売戦略の開発、ローカルパートナーシップの構築など、包括的なサポートを行っています。